編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lingvay I, Catarig AM, Frias JP, Kumar H, Lausvig NL, le Roux CW, Thielke D, Viljoen A, McCrimmon RJ: Efficacy and safety of once-weekly semaglutide versus daily canagliflozin as add-on to metformin in patients with type 2 diabetes (SUSTAIN 8): a double-blind, phase 3b, randomised controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019; 7: 834-844. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬semaglutideとSGLT2阻害薬canagliflozinは,いずれも2型糖尿病患者への投与により血糖を降下させるとともに,体重減少効果を有することが知られている。本研究は,その両者を直接比較した研究であるが,両者とも海外での最大用量を用いるという条件下で,semaglutideがcanagliflozinに比較して,血糖降下作用が強く,体重減少作用も強いことが明らかになった。両薬物の薬効を考える意味で重要なデータである。【綿田 裕孝】

●目的 metformin投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,semaglutide皮下投与とcanagliflozin経口投与の有効性と安全性を比較した。
一次エンドポイントはベースラインから52週後までのHbA1cの変化。
二次エンドポイントはベースラインから52週後までの体重の変化。
●デザイン ランダム化,二重盲検,多施設(111施設,11ヵ国),第IIIb相。
●試験期間 登録期間は2017年3月15日~2018年11月16日,治療期間は52週,追跡期間は治療後5週間
●対象患者 metformin投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者788例。
平均年齢56.6歳,男性54%,HbA1c 8.3%,糖尿病罹病期間7.4年,体重90.2 kg,BMI 32.3 kg/m2,腎機能(正常71%,軽度の腎障害28%,中等度の腎障害1%),糖尿病合併症(糖尿病神経障害11%,糖尿病網膜症8%,大血管障害5%,糖尿病性腎症4%,黄斑浮腫1%)。
登録基準:18歳以上,HbA1c 7.0~10.5%,スクリーニング前にmetforminを維持用量(≧1,500 mgまたは最大耐量)にて90日以上使用している者,eGFR≧60 mL/分/1.73m2
除外基準:膵炎(急性/慢性)の既往/存在,糖尿病性ケトアシドーシス既往,スクリーニングの180日前以内における心筋梗塞・脳卒中・不安定狭心症/一過性脳虚血発作による入院,心不全(NYHA心機能分類IV),metformin以外の糖尿病/肥満治療薬を90日以上使用している者(14日以内のインスリン使用は許可)。
●方法 2週間のスクリーニング後,対象患者をsemaglutide 群(1.0 mg 週1回皮下投与)(394例),canagliflozin群(300 mg 1日1回経口投与)(394例)にランダム化。
semaglutideは,8週間かけて維持用量の1.0 mgまで漸増した。
canagliflozinは,経口錠剤をできれば1日の最初の食事の前に服用とし, 8週間かけて維持用量の300mgへ漸増した。
●結果 HbA1cはベースラインから52週後までに,semaglutide群のほうがcanagliflozin群に比べ,有意に低下した(推定治療差[ETD]-0.49パーセントポイント[95%CI -0.65 to -0.33],p<0.0001)。体重もsemaglutide群でcanagliflozin群に比べ,有意に減少した(ETD -1.06 kg[-1.76 to -0.36],p=0.0029)。
semaglutide群でもっとも多い有害事象は消化管疾患(184例[47%])であり,そのうち悪心がもっとも多かった。一方,canagliflozin群でもっとも多い有害事象は感染症(136例[35%])であり,そのうち尿路感染症がもっとも多かった。有害事象による治療中止はsemaglutide群38例(10%),canagliflozin群20例(5%)であった。治療に関連しない致死的有害事象がsemaglutide群1例であった。
●結論 metformin投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,HbA1cの低下および体重の減少について,semaglutide1.0 mg週1回皮下投与のcanagliflozin 300 mg 1日1回経口投与に対する優越性が認められた。これらの結果は,治療を強化する際の治療選択の一助となるかもしれない。