編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Perng W, Ringham BM, Smith HA, Michelotti G, Kechris KM, Dabelea D: A prospective study of associations between in utero exposure to gestational diabetes mellitus and metabolomic profiles during late childhood and adolescence. Diabetologia. 2020; 63: 296-312. [PubMed]

母親が妊娠糖尿病であった際には,特に女児においては,小児期から決して肥満にならないように生活習慣を律していくことが大切,とする一つの根拠となろう。また,国民への啓蒙として,小児期からの無意識の脂肪摂取過剰,運動不足が肝への軽度脂肪の蓄積をもたらし,体内での脂質代謝への過剰な負担をかけており,その後のインスリン作用の減弱などを惹起していることを知らしめることの重要性を示す一つの根拠となろう。 【河盛隆造

●目的 子宮内での母体妊娠糖尿病(GDM)への暴露が,その後の児の代謝産物パターンに与える影響を検討した。
●デザイン 前向きコホート研究,多施設(10施設)。
●試験期間 登録期間は2006~2009年(T1),追跡期間は2012~2015年(T2)。
●対象患者 母親が米国コロラドのカイザー・パーマネンテ(KPCO)に参加している6~14歳(T1)(平均10.4歳,四分位範囲9.4~11.5歳)の592例。
6年後(12~19歳時[T2][平均16.7歳,15.9~17.6歳])の追跡実施は403例。
登録基準:代謝データを有する者。
除外基準:母親が1型糖尿病の者。
●方法 6~14歳時(T1)および12~19歳時(T2)の非標的代謝産物データ,T1およびT2の脂肪過多および代謝リスクバイオマーカーに関するデータを用いた。
主成分分析(PCA)により,T1における767の代謝産物を因子(代謝産物パターン)として統合し,多変量回帰(α=0.05)を用いて,GDM暴露により異なった因子を特定した。さらにT1およびT2における因子内で個々の代謝産物とGDMとの関連を検討し,混合効果線形回帰モデルを用いて,T1のGDM関連因子とT1~T2の脂肪過多・代謝リスクとの関連を検討した。
GDMは,妊娠24~28週時に測定された3時間100g OGTTの値が,2回以上,陽性試験の基準値以上となった場合とした。
●結果 PCAで特定された6つの因子(代謝産物パターン)のうち,子宮内GDMへの暴露と有意な関連が認められたのは「因子4」であり,児の年齢・性別・人種/民族・妊娠中の妊婦喫煙習慣・Tannerステージ分類・身体活動レベル・総エネルギー摂取量で調整後,「因子4」の第4四分位(vs. 第1~3四分位)のオッズ比は 1.78(95%CI 1.04 to 3.04],p=0.04)であった。この代謝産物パターン(因子4)はホスファチジルコリン,ジアシルグリセロール,およびホスファチジルエタノールアミンで構成されていた。GDMはT1およびT2におけるこのパターン内の個々の合成物のサブセットの上昇と継続的に関連した。追跡期間中,この代謝産物パターン(因子4)は,男児の健康アウトカムとは関連しなかったが,女児においては脂肪過多増大および代謝産物プロファイルの悪化と一致した。
因子4の1 unit増加により,BMI zスコアの0.17(0.08 to 0.25)unit増加,空腹時インスリンの8.83(5.07 to 12.59)pmol/L増加,HOMA-IRの0.28(0.13 to 0.43) units増加,レプチンの4.73(2.15 to 7.31) nmol/L増加がみられた。
●結論 母体がGDMの場合,児が小児期後期および青年期になったとき,血清リン脂質の上昇を特徴とした代謝産物パターンとの関連が認められた(α=0.05)。この代謝産物パターンは小児期後期から青年期を通じ,女児では脂肪過多症および代謝リスクの増加と関連した。