編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年2月現在,1224報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Matthews DR, Paldánius PM, Proot P, Chiang Y, Stumvoll M, Del Prato S; VERIFY study group: Glycaemic durability of an early combination therapy with vildagliptin and metformin versus sequential metformin monotherapy in newly diagnosed type 2 diabetes (VERIFY): a 5-year, multicentre, randomised, double-blind trial. Lancet. 2019; 394: 1519-1529. [PubMed]

早期の血糖コントロールは細小血管障害のみならず大血管障害も予防することが UKPDS により示され,legacy effectと呼ばれている。本研究は,現行のガイドラインよりも早期に併用療法を導入することにより良好な血糖コントロールを迅速に得られることを示した。
早期の併用療法については,HbA1cのみならず,低血糖の程度と頻度,細小血管障害及び大血管障害への影響など検討すべき課題は多い。米国FDAが2008年に企業向けのガイダンスにより,糖尿病治療薬については開発段階から心血管イベントを検討するよう求めており,この結果,GLP-1受容体作動薬及びSGLT2阻害薬による心血管イベントの抑制効果が示されている。一方,本研究でも用いられたDPP4阻害薬は心血管イベントに関しては概ねneutralである。
早期併用療法の効果を示した本研究は興味深いが,薬物の選択と組み合わせについては今後の検討を待たなければならない。【景山 茂】

●目的 新規2型糖尿病患者において,metformin+vildagliptinによる早期併用療法は,metformin初期単独療法にくらべ,長期間の血糖コントロール維持に有用であるか検討した。
有効性の一次エンドポイントは,ランダム化から初回治療失敗(治療13週以降,連続2回の受診でHbA1c≧7%となった場合と定義)までの期間。
●デザイン ランダム化,二重盲検(患者,治験責任医師,データ解析者,評価者を盲検化),多施設(254施設,34ヵ国)。
●試験期間 登録期間は2012年3月30日~2014年4月10日,試験(治療)期間は5年。
●対象患者 2型糖尿病患者2,001例。
平均年齢は早期併用療法群54.1±9.5歳,初期単独療法群54.6±9.2歳,女性はそれぞれ54.6%,51.3%,2型糖尿病罹病期間中央値は3.3年(1.0~9.8),3.4年(0.9~10.4),平均HbA1cは 6.7±0.4%,6.7±0.5%。
登録基準:18~70歳,2型糖尿病の診断後2年以内,HbA1c 6.5~7.5%,BMI 22~40 kg/m2,適切な生活習慣修正のアドバイス(食事カウンセリング,運動トレーニング)を受けている者。
除外基準:血糖降下薬治療(スクリーニング前1ヵ月以内のmetformin≦2,000 mg/日は除く)をスクリーニング前3ヵ月以内,あるいは過去2年間で連続3ヵ月以上または合計3ヵ月以上受けている者。スクリーニング前3ヵ月以内に減量薬を使用した者,慢性肝臓病/うっ血性心不全(NYHA III-IV),妊娠/授乳中。
●方法 2週間のスクリーニング,および3週間のmetforminによるrun-in(metformin 1500 mgあるいは最大耐容量)後,対象患者を早期併用療法群(metformin+vildagliptin)(998例),初期metformin単独療法群(metformin+プラセボ)(1,003例)にランダム化。
metforminは安定用量(1,000 mg,1,500 mg,または2,000 mg/日)を経口投与,vildagliptinは50 mgを1日2回経口投与とした。
初期metformin単独療法群では,period 1の13週間隔で測定したHbA1cが2回連続して7.0%以上のときに治療失敗とし,早期併用療法群と同様にvildagliptinを追加し,period 2に移行した。Period 2では各地域のガイドライン上インスリンが必要であれば両群ともにインスリンを開始し,period 3に移行した。プロトコール上は基礎インスリン1日1回投与であるが,インスリンの種類と投与方法は主治医の裁量とした。
●結果 5年間の試験完遂は,早期併用療法群811例(81.3%),初期単独療法群787例(78.5%)であった。
period 1における初回治療失敗は,早期併用療法群429例(43.6%),初期metformin単独療法群614例(62.1%)であった。治療失敗までの期間中央値は,初期単独療法群では36.1ヵ月(IQR 15.3~到達せず[NR])であったが,早期併用療法群では試験期間を超える61.9ヵ月(29.9~NR)となった。早期併用療法群の初期単独療法群に対する初回治療失敗の相対リスクは有意に低かった(HR 0.51,95%CI 0.45 to 0.58,p<0.0001)。
両群ともに安全かつ忍容性良好であり,想定外または新たな有害所見を認めず,また試験薬に関連した死亡もなかった。
●結論 新規2型糖尿病患者において,vildagliptin+metforminの早期併用療法は,現行の標準療法であるmetforminの単独療法に比べ,血糖コントロールの有意な改善をより長期間にわたり持続させる可能性が示された。