編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Yaron M, Roitman E, Aharon-Hananel G, Landau Z, Ganz T, Yanuv I, Rozenberg A, Karp M, Ish-Shalom M, Singer J, et al.: Effect of Flash Glucose Monitoring Technology on Glycemic Control and Treatment Satisfaction in Patients With Type 2 Diabetes. Diabetes Care. 2019; 42: 1178-1184. [PubMed]

1型糖尿病患者におけるFGMの有用性について,さまざまな観点からの報告が続いている。しかし,2型糖尿病におけるFGMの有用性についての報告は,まだ数えるほどしかない。本報告では,インスリン治療中の2型糖尿病患者101例をFGM群と対照群に無作為に割り付け,10週後の治療満足度,HbA1c,低血糖について比較検討した。
その結果,治療満足度はFGM群で有意に増加した。また,FGM群でHbA1cは有意に改善したが,低血糖の頻度は上昇しなかった。2型糖尿病においても,本報告のような知見が集積した暁には,ガイドライン等における立ち位置もFGMがSMBGを凌駕し,FGMがメインに使用される日が早晩訪れる可能性がある。その際,問題になるのが両者のコストの差であるが,この点は,企業努力やベンチャー企業の参入等により解決されるであろう。【西村理明

●目的 インスリン治療中の2型糖尿病患者において,フラッシュグルコースモニタリング(FGM)システムの効果および治療満足度を評価した。
一次エンドポイントはFGM使用による治療満足度(糖尿病治療満足度質問表[DTSQ])。
二次エンドポイントはHbA1cの変化,健康関連QOLスコアの変化。
●デザイン 無作為,オープン,多施設(2施設,イスラエル)。
●試験期間 登録期間は2016年11月15日~2017年8月31日,追跡期間は10週。
●対象患者 頻回インスリン注射(MDI)で治療中の2型糖尿病患者101例。
平均年齢は介入群67.65歳,対照群65.94歳,男性はそれぞれ69.8%,58.3%,糖尿病罹患期間22.1年,21.53年,BMI 29.65 kg/m2,30.31 kg/m2,HbA1c 8.68%,8.34%。
登録基準:30~80歳,2型糖尿病診断から1年以上が経過した者,1日2回以上のインスリン注射(少なくとも食後インスリン注射1回以上を含む)による治療を6ヵ月以上受けている者,HbA1c 7.5~10.0%,1日7回の血糖検査を週1日以上完遂することを厭わない者。
除外基準:1型糖尿病,過去6ヵ月以内の心血管疾患,過去6ヵ月以内の7日超のステロイド治療歴,増殖糖尿病網膜症の既往歴,クレアチニン値≧2 mg/dL,妊娠または6ヵ月以内の計画妊娠。
●方法 初回来院時にHbA1c検査を実施。2週間のrun-in期間およびインスリン用量安定後,対象患者を介入群(FGMシステムを使用,53例),対照群(FGMシステムは使用せず,48例)にランダム化。その際,年齢(<65歳,≧65歳),HbA1c値(<8.5%,≧8.5%)により層別化して検討。
介入群ではFGMシステムを10週間用い,≦8時間ごとにスキャンするように指示。
全患者が,訓練を受けた糖尿病看護士および栄養士による30分以内のカウンセリングおよび詳細なカーボカウント法を含めた糖尿病管理に関する指導を受けた。また,インスリン用量は両群ともに,対面/電話訪問により調節した(医療ケア専門者との相談時間も両群同様)。
過去数週間の糖尿病治療レジメンに関する満足度を評価するためのDTSQは8項目からなり,このうち6項目(全体的な満足度,利便性,柔軟性,糖尿病の理解,現治療を他者に推奨したいか,現治療を継続したいか)は7ポイントスケール(極めて満足~極めて不満足)で示し,残りの2項目(個々に感じた高血糖エピソードまたは低血糖エピソードの頻度)は,低スコアほど,血糖コントロール良好を示すものとした。
DTSQc(DTSQ change version)は,本試験での治療と,本試験前の治療を比較し,スコアは+3(現治療のほうが,はるかに満足)から-3(現治療のほうが,ずっと不満足)で示し,0(中間点)は変化なしとした。
DTSQ全スコアでは,高スコアは治療満足度が高いこと,低スコアは治療満足度が低いことを示した。
健康関連QOLを評価するためのADDQoLは,糖尿病によるQoLに関する19の質問項目で構成。
FGMシステム使用に関する全体的な快適さは,使いやすさ,快適さ,苦痛,デザイン,システムの操作,などの項目を含むLibre user質問票により評価した。
●結果 治療満足度の評価対象は介入群46例,対照群36例であった。
10週後におけるDTSQcは両群ともに高く,介入群2.47±0.77,対照群2.18±0.83であった(p=0.053)。DTSQの各項目の検討では,介入群で対照群にくらべ,柔軟性(2.28±1.28 vs. 1.61±1.59,p=0.019),現治療を他者にも推奨したいか(2.61±0.86 vs. 2.19±1.04,p=0.023)の項目で有意に高かった。ADDQoL質問票については,群間に有意差なしであった。
介入群におけるFGMシステム使用に関する満足度は概して高く,非常に満足と感じた患者は87.5%,やや満足と感じた患者は12.5%であり,やや不満足または不満足と感じた患者はいなかった。
intention-to-treat解析による10週後のHbA1cの変化は,介入群-0.82%,対照群-0.33%であった(p=0.005)。
非事前設定のpost hoc解析では,HbA1c≧5%の減少を認めた患者は,介入群で68.6%,対照群で30.2%であり(p<0.001),HbA1c≧1.0%の減少を認めた患者は,介入群で39.2%,対照群で18.6%であったが(p=0.0023),低血糖症の頻度は増加しなかった。
●結論 MDIで治療中の2型糖尿病患者において,FGMは治療の満足度を改善させ,低血糖症の発生頻度を増加させることなく,血糖コントロール改善をもたらす可能性が示唆された。