編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Husain M, Birkenfeld AL, Donsmark M, Dungan K, Eliaschewitz FG, Franco DR, Jeppesen OK, Lingvay I, Mosenzon O, Pedersen SD, et al.; PIONEER 6 Investigators: Oral Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes. N Engl J Med. 2019; 381: 841-851. [PubMed]

PIONEER 6試験では,経口semaglutide追加投与群では,試験終了の中央値15.9ヵ月後にはHbA1cが8.2%から1.0%降下した(プラセボ群では0.3%降下)。さらに体重は91 kgから4.2 kg降下した(プラセボ群では0.8 kg降下)。注射GLP-1受容体作動薬では,これほどの体重減少はみられていない。経口semaglutideは,食前30分に服用されている。このことが体重減少に関与しているのか,腸から脳への作用などに関して今後注目が集まるであろう。【河盛隆造

●目的 心血管リスクの高い2型糖尿病患者において,経口semaglutideの心血管リスクのプロファイルを検証した。
主要評価項目は主要有害心血管イベント(MACE)(心血管死,非致死性心筋梗塞,または非致死性脳卒中の複合)。
●デザイン 無作為化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(214施設,21ヵ国),第IIIa相,full-analysis set(解析)。
●試験期間 ランダム化期間は2017年1月~8月,試験期間中央値は15.9ヵ月(範囲0.4~20.0)。
●対象患者 心血管リスクが高い2型糖尿病患者3,183例。
平均年齢66歳,男性68.4%,HbA1c 8.2%,糖尿病罹病期間14.9年,体重90.9 kg,BMI 32.3 kg/m2,推算糸球体濾過量(eGFR)74 mL/分/1.73 m2
metformin使用77.4%,インスリン使用60.6%,SU薬使用32.3%,SGLT-2阻害薬使用9.6%。降圧薬使用93.9%,脂質低下薬使用85.2%,抗血小板薬または抗血栓薬の使用79.4%。
登録基準:50歳以上で心血管疾患または慢性腎臓病(CKD)を伴う者,あるいは60歳以上で心血管危険因子のみ伴う者。
除外基準:スクリーニング前90日以内におけるGLP-1受容体作動薬/DPP-4阻害薬/pramlintideによる治療歴,心不全(NYHA心機能分類4),冠動脈/頚動脈/末梢動脈の血行再建術の施行予定者,スクリーニング前60日以内の心筋梗塞,脳卒中,または不安定狭心症/一過性脳虚血発作による入院,長期/間欠的血液透析,重篤な腎障害(eGFR<30 mL/分/1.73 m2),積極的治療を要する増殖網膜症または黄斑症。
●方法 対象患者を,経口semaglutide群(1,591例),プラセボ群(1,592例)に1:1にランダム化。
層別化(心血管疾患,CKD,または心血管危険因子のみ)を実施。
両群ともに,基礎治療への追加投与とした。
経口semaglutideは,朝1日1回(目標投与量は14mg),食前(飲食/他の薬剤服用の30分前)に経口投与(飲料水≦120mL)とした。
プラセボに対する経口semaglutideの非劣性の閾値は,主要評価項目におけるハザード比(HR)の95%CIの上限1.8とした。
●結果 治療完遂は,経口semaglutide群84.7%,プラセボ群90.1%であった。
MACE(心血管死,非致死性心筋梗塞,または非致死性脳卒中の複合)の発生は経口semaglutide群61例(3.8%),プラセボ群76例(4.8%)で,経口semaglutideのプラセボに対する非劣性が認められた(HR 0.79,95%CI 0.57-1.11,非劣性のp<0.0001,優越性のp=0.17)。
経口semaglutide群でプラセボ群にくらべ,心血管死は有意に減少したが(15例[0.9%] vs. 30例[1.9%],HR 0.49,95%CI 0.27-0.92),初発の非致死性心筋梗塞(37例[2.3%] vs. 31例[1.9%],HR 1.18,95%CI 0.73-1.90)と非致死性脳卒中(12例[0.8%] vs. 16例[1.0%],HR 0.74,95%CI 0.35-1.57)については有意な群間差は認められなかった。
また,全死亡は経口semaglutide群で有意に減少した(23例[1.4%] vs. 45例[2.8%],HR 0.51,95%CI 0.31-0.84)。
その他の有効性評価項目であるベースラインから試験終了までのHbA1cの平均変化は,経口semaglutide群-1.0%,プラセボ群-0.3%,体重の平均変化は-4.2 kg,-0.8 kgであった。
有害事象による治療中止は,経口semaglutide群でプラセボ群に比べて有意に多かったが(184例[11.6%] vs. 104例[6.5%]),おもに消化管の有害事象(108例[6.8%] vs. 26例[1.6%])によるものだった。
●結論 2型糖尿病患者において,経口semaglutideの心血管リスクのプロファイルは,プラセボに対して非劣性であることが示された。