編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2019年12月現在,1219報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]

metformin内服中の2型糖尿病患者における,経口GLP-1受容体作動薬semaglutideの追加効果を,sitagliptin 100mgの追加効果と比較した,無作為割り付け試験の報告である。本報告は,semaglutideの3用量(3,7,14mg)の比較も行っており,sitagliptinを含め全部で4群での比較が行われた。その結果,HbA1cの変化と体重減少について,sitagliptin 100mgと比較して,semaglutide 3mgは非劣性,7mg,14mgは有意な改善を示した。
すでに,semaglutideの注射薬は,2型糖尿病患者における心血管イベントの2次予防で有意な効果があることが示されている(SUSTAIN-6 )。経口のsemaglutideにおいても,同様の心血管イベントの発症抑制効果が認められれば,糖尿病治療において,大きな潮流の変化が起こる可能性がある。HbA1cの変化と体重減少を見る限り,経口薬(連日)の効果は,注射薬(週1)とほぼ同等であり,臨床試験の結果が待ち望まれる。【西村理明

●目的 metformin単剤投与下またはスルホニル尿素薬併用の2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬semaglutideを追加で経口投与した場合の有効性および長期有害イベントのプロフィールをsitagliptin経口投与と比較した。
一次エンドポイントはベースラインから26週後までのHbA1cの変化。
二次エンドポイントはベースラインから26週後までのBMIの変化など。
●デザイン 無作為化,二重盲検(患者と治験責任医師を盲検化),実薬対照,パラレル,多施設(206施設,14ヵ国),第IIIa相。
●試験期間 登録期間は2016年2月~2018年3月,治療期間は78週。
●対象患者 metformin単剤投与下またはスルホニル尿素薬併用で,HbA1cが7.0~10.5%の2型糖尿病患者1,864例。平均年齢58歳,男性52.8%,白色人種71.1%,HbA1c 8.3%,空腹時血糖171 mg/mL,糖尿病罹病期間8.6年,体重91.2 kg,BMI 32.5 kg/m2
除外基準:スクリーニングの90日前以内の糖尿病/肥満に対する薬物治療歴(metformin,スルホニル尿素薬,短期インスリンを除く),膵炎の既往,腎不全,緊急治療を要する増殖網膜症または黄斑症。
●方法 対象患者をsemaglutide 3mg群(466例),semaglutide 7mg群(465例),semaglutide 14mg群(465例),sitagliptin 100mg群(467例)に1:1:1:1にランダム化。出身国(日本/日本以外)および基礎治療(metformin単剤,スルホニル尿素薬併用)により層別化後,ブロック(サイズ8)ランダム割付けを実施した。
朝1日1回,空腹時に経口投与し(飲料水≦120mL),投与後30分間は食事/他の薬剤の服用を控えることとした。semaglutideは3mg/日から開始し,割付けされた各維持用量に達するまで4週間ごとに7mg,14mgへと漸増。sitagliptinは開始用量,維持用量ともに100 mgとした。
基礎治療のmetformin(単剤またはスルホニル尿素薬併用)については,試験開始前からの使用用量を継続した。
semaglutide各群とsitagliptin群の比較において,“治療方針estimand”(試験治療薬中止およびレスキュー治療導入に関わらず,割付けした全例を含む: intention-to-treat解析)および“治療薬estimand” (治療薬中止例およびレスキュー治療導入例を除外し,治療薬を投与した患者のみ含む)による解析を行った。
●結果 試験を完遂したのは94.3%であった。
一次エンドポイントであるHbA1cの変化について,治療方針estimandの検討では,sitagliptin群にくらべ,semaglutide 7mg群(群間差-0.3%[95%CI -0.4 to -0.1],p<0.001),14mg群(-0.5%[-0.6 to -0.4],p<0.001)で有意に減少した。一方,semaglutide 3mg群のsitagliptin群に対する非劣勢は示されなかった(非劣勢マージン0.3%)。また,これらについて,治療薬estimandでも同様の結果が示された。
二次エンドポイントである体重の変化についても,治療方針estimandの検討では,sitagliptin群にくらべ,semaglutide 7mg群(群間差-1.6 kg[95%CI -2.0 to -1.1],p<0.001),14mg群(-2.5 kg[-3.0 to -2.0],p<0.001)で有意に減少し,治療薬estimandでも同様の結果であった。
78週後の検討では,HbA1cは,semaglutide 7mg群(治療薬estimandのみ),14mg群でsitagliptin群にくらべ有意に低下したが,3mg群では有意な差を認めなかった。体重については,両検討とも,sitagliptin群にくらべ,semaglutideの全群において有意な減少を認めた。
●結論 metformin単剤投与下またはスルホニル尿素薬併用でコントロール不良の2型糖尿病患者において,経口semaglutideは,7mg,14mgともに,経口sitagliptinにくらべ,26週後のHbA1cを有意に低下させたが,semaglutide 3mgでは有意な低下を認めなかった。