編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2022年6月現在,12823報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Gerstein HC, Colhoun HM, Dagenais GR, Diaz R, Lakshmanan M, Pais P, Probstfield J, Riesmeyer JS, Riddle MC, Rydén L, et al.; REWIND Investigators: Dulaglutide and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes (REWIND): a double-blind, randomised placebo-controlled trial. Lancet. 2019; 394: 121-130. [PubMed]

これまで,liraglutideを用いたLEADER試験やsemaglutideを用いたSUSTAIN 6試験などで,非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中・心血管死からなる複合心血管イベント(3P-MACE)のハザード比(HR)がそれぞれ0.87,0.74と有意に低下することが報告されている。今回,週1回皮下注のGLP-1受容体作動薬dulaglutideを用いて心血管アウトカムを検証するREWIND試験の結果が発表された。
今回は,LEADER試験やSUSTAIN 6試験とは異なり,心血管疾患の既往を有する50歳以上の2型糖尿病患者(約50%)に加えて,心血管リスクを2つ以上有する60歳以上の2型糖尿病患者も対象としている。5.4年間の追跡期間で,dulaglutide群(1.5 mg 皮下注)ではプラセボ群に比べて,3P-MACEのHRが0.88と有意に減少した。中でも,非致死的脳卒中に対してはHRが0.76と有意な減少がみられている。網膜症や腎症の細小血管エンドポイントのHRは0.87,腎エンドポイントは0.85とdulaglutide群で有意に減少した。
以上,長時間作用性のdulaglutide週1回投与はプラセボを用いた標準治療にくらべ,心血管疾患の既往歴のある患者だけでなく,複数の心血管危険因子を有する患者を含んだ今回のより広い2型糖尿病患者において,優越性をもって心血管/細小血管アウトカムを減少させた。GLP-1受容体作動薬は,血糖を改善することに加えて,LDL-コレステロール低下・血圧低下・体重減少作用を併せもち,また血管内皮細胞保護作用や抗血小板作用や直接的な神経保護作用も示すことが報告されている。結果として,動脈硬化の進展を抑制し,血管の微小炎症や血管収縮の抑制に繋がることが,GLP-1受容体作動薬の心血管保護作用をもたらすと想定される。今後,GLP-1受容体作動薬が2型糖尿病患者の治療にさらに汎用されることが期待される。【片山 茂裕】

●目的 中年~高齢の2型糖尿病患者において,既存の糖尿病治療薬レジメンにGLP-1受容体作動薬dulaglutideを追加した場合の,主要心血管イベントに対する効果を検証した。
一次エンドポイントは非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,または心血管死/原因不明死の複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(24ヵ国,371施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 スクリーニング期間は2011年8月18日~2013年8月14日,追跡期間(中央値)は5.4年(範囲5.1~5.9),追跡終了は2018年8月21日。
●対象患者 50歳以上の2型糖尿病患者9,901例。平均年齢66.2歳,女性46.3%,心血管疾患既往31.5%,推算糸球体濾過量(eGFR)<60 mL/分/1.73m2 22.2%,糖尿病罹患期間(中央値)9.5年,HbA1c(中央値) 7.2%,eGFR(中央値)74.9 mL/分/1.73m2
登録基準: HbA1c ≧9.5%(血糖降下薬経口投与下[安定用量,≦2剤,基礎インスリンの有無問わず]),BMI≧23kg/m2
除外基準:eGFR<15 mL/分/1.73m2,過去5年以内のがんの既往,余命1年未満,過去2ヵ月以内の冠動脈/心血管イベント,血行再建術施行の予定。
●方法 単盲検プラセボrun in 期間に週1回のプラセボ皮下注を100%実施した対象患者を,dulaglutide群(1.5 mg 皮下注)(2,202例),プラセボ群(2,199例)に1:1にランダム化。
ランダム化は,コンピュータ生成の乱数表により施設で層別化して実施した。
●結果 有害イベントによる脱落はdulaglutide群9.1%,プラセボ群6.3%であった。
追跡期間における複合一次エンドポイント発症率は,dulaglutide群(12.0%)でプラセボ群(13.4%)に比べ,有意に低かった(HR 0.88,95%CI 0.79-0.99,p=0.026)。全死亡率はそれぞれ10.8%,12.0%と群間差を認めなかった(HR 0.90,95%CI 0.80-1.01,p=0.067)。細小血管アウトカム(眼または腎アウトカム)は18.4%,20.6%(HR 0.87,95%CI 0.79-0.95,p=0.0020),腎アウトカムは17.1%,19.6%(HR 0.85,95%CI 0.77-0.93,p=0.0004)と,dulaglutide群で有意に減少した。
事前設定の有害事象(試験薬の中止,重症消化管イベント,重症低血糖症,がん,膵炎)については群間の有意差はなかったが,消化管の有害イベントはdulaglutide群で有意に多かった(47.4%,34.1%,p<0.0001)。
●結論 心血管疾患の既往歴や心血管危険因子の有無に関わらず,中年~高齢の2型糖尿病患者において,GLP-1受容体作動薬dulaglutideは血糖コントロールに有用で,主要心血管イベントを抑制する可能性が示唆された。