編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Perkovic V, Jardine MJ, Neal B, Bompoint S, Heerspink HJL, Charytan DM, Edwards R, Agarwal R, Bakris G, Bull S, et al.; CREDENCE Trial Investigators: Canagliflozin and Renal Outcomes in Type 2 Diabetes and Nephropathy. N Engl J Med. 2019; 380: 2295-306. [PubMed]

SGLT2阻害薬の心血管安全性を評価した臨床試験では,empagliflozinを用いたEMPA-REG OUTCOME試験や,canagliflozinを用いたCANVAS試験,dapagliflozinを用いたDECLARE TIMI 58試験で,心血管イベントが有意に減少することが報告されてきた。また,これら試験のサブ解析や探索的解析で,腎アウトカムも改善する可能性が示されていた。これらの試験では,プラセボ群との血糖コントロールの差はわずかであり,SGLT2阻害薬の腎保護作用には血圧の低下などに加えて糸球体内圧の低下が関与することが示唆されている。しかしながら,これらの試験の対象は腎不全リスクが低く,末期腎不全に至る患者数も少なかったため,その効果についてデータが不十分だった。こうしたなか,CREDENCEは,eGFR 30~<90mL/分/1.73m2,3,00~5,000 mg/gのアルブミン尿を有する2型糖尿病患者を対象に,SGLT2阻害薬canagliflozinが腎アウトカムに及ぼす影響を主要評価項目として実施され,その結果が待たれた試験である。
本試験では,主要評価項目である末期腎不全・血清クレアチニン値の倍化・腎臓死・心血管死の複合イベント発生率は,プラセボ群に比べて30%減少した。副次評価項目である複合腎アウトカム(末期腎不全・血清クレアチニン値の倍増・腎疾患による死亡)は34%,末期腎不全単独では32%,透析導入・腎移植・腎臓死の複合アウトカムは28%,それぞれリスクが低下することが示された。この結果,従来の3つの試験で対象とされた症例よりも腎機能低下が低下した,すなわちCKDのステージ分類でG3aやG3b,顕性アルブミン尿のA3の症例にも,SGLT2阻害薬であるcanagliflozinが腎保護作用を示すことが明らかにされたといえる。また,本試験の対象とされCKDを有する2型糖尿病患者で,心血管イベントが有意に減少したことも特筆される。なお,CANVAS試験のcanagliflozin群で報告された下肢切断や骨折リスクの増加は,本試験では認められなかった。
本試験でのcanagliflozinの投与量は100mg/日と日本で認可されている用量であり,アジア人が20%を占めていたことは,この結果をわが国の臨床現場にも展開できると期待でき,重要な臨床的意義を有する。【片山茂裕

●目的 アルブミン尿を有する慢性腎臓病を伴う2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬canagliflozinが腎アウトカムに与える影響を検討した。
主要評価項目は末期腎不全(透析≧30日,腎移植,推算糸球体濾過量[eGFR]<15mL/分/1.73m2≧30日),血清クレアチニン値の倍増≧30日,または腎/心血管疾患による死亡の複合。
●デザイン 無作為化,二重盲検,プラセボ対照,多施設(34ヵ国,690施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 スクリーニング期間は2014年3月~2017年5月,追跡期間中央値は2.62年。
●対象患者 アルブミン尿を有する慢性腎臓病を伴う2型糖尿病患者4,401例。平均年齢63歳,女性33.9%,HbA1c 8.3%,eGFR 56.2 mL/分/1.73m2,尿中アルブミン・クレアチニン比(中央値)927mg/g。
登録基準:30歳以上,HbA1c 6.5~12.0%,慢性腎臓病(eGFR 30~<90mL/分/1.73m2),アルブミン尿(尿中アルブミン・クレアチニン比>3,00~5,000 mg/g)。
除外基準:非糖尿病性腎臓病または1型糖尿病,腎臓病に対する免疫抑制治療歴,透析歴または腎移植歴。
●方法 すべての対象患者に,ランダム化前に4週間以上にわたりアンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬を投与した。
2週間の単盲検プラセボrun-in期間にプラセボを80%以上服用した対象患者を,canagliflozin群(100 mg 1日1回経口投与)(2,202例),プラセボ群(2,199例)に1:1にランダム化。
eGFR値(30~<45mL,<90mL/分/1.73m2)により層別化し,置換ブロック法を用いた。
●結果 本試験は中間解析後,データ安全性モニタリング委員会の勧告により,早期中止となった。
追跡期間中に1,201例が脱落した。
追跡期間における主要評価項目について,canagliflozin群(43.2/1000人・年)のプラセボ群(61.2/1000人・年)に対する相対リスク減少度は30%であった(ハザード比0.70,95%CI 0.59-0.82,p=0.00001)。canagliflozin群ではプラセボ群に比べ,複合腎アウトカム(末期腎不全,血清クレアチニン値の倍増,または腎疾患による死亡)の相対リスク減少度は34%(HR 0.66,95%CI 0.53-0.81,p<0.001),末期腎不全の相対リスク減少度は32%であった(HR 0.68,95%CI 0.54-0.86,p=0.002)。さらにcanagliflozin群ではプラセボ群にくらべ,心血管死,心筋梗塞,または脳卒中の複合発生リスク(HR 0.80,95%CI 0.67-0.95,p=0.01),および心不全による入院リスクが減少した(HR 0.61,95%CI 0.47-0.80,p<0.001)。
下肢切断(HR 1.11,95%CI 0.79-1.56),骨折(HR 0.98,95%CI 0.70-1.37)については群間差を認めなかった。
●結論 腎臓病を伴う2型糖尿病患者において,追跡期間中央値2.62年における腎不全および心血管イベントの発生リスクは,canagliflozin群でプラセボ群に比べ,有意に低かった。