編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kato ET, Silverman MG, Mosenzon O, Zelniker TA, Cahn A, Furtado RHM, Kuder J, Murphy SA, Bhatt DL, Leiter LA, McGuire DK, Wilding JPH, Bonaca MP, Ruff CT, Desai AS, Goto S, Johansson PA, Gause-Nilsson I, Johanson P, Langkilde AM, Raz I, Sabatine MS, Wiviott SD. Effect of Dapagliflozin on Heart Failure and Mortality in Type 2 Diabetes Mellitus. Circulation. 2019; 139: 2528-36. [PubMed]

心不全の増加が懸念されている現代において,これまで心不全の改善作用を有する糖尿病治療薬はなかった。SGLT2阻害薬の心血管イベントに関する研究であるEMPA-REG OUTCOME研究CANVAS programによっても心不全による入院を減少させる効果は示されており,これらの効果はSGLT2阻害薬のクラスエフェクトと考えられる。
本研究では,左室駆出率による効果の違いを検討し,左室駆出率の低下している群では心不全による入院,心血管死,全死亡を有意に減少させることが示された。本研究の左室駆出率の低下した心不全の86%はアンジオテンシン変換酵素阻害薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬,80.7%はβ遮断薬,3分の2は利尿薬,30.3%はミネラロコルチコイド受容体拮抗薬を服用していた。これらに上乗せしてdapagliflozinが投与され,心血管死や心不全による入院の減少に寄与したことから,利尿効果以外の作用がこれらの望ましい効果をもたらした可能性が示唆され,今後の研究が期待される。【景山 茂

●目的 2型糖尿病患者において,SGLT2阻害薬dapagliflozinによる心血管死/心不全による入院の抑制効果は,ベースライン時の左室駆出率(LVEF)により異なるか否かを検討した。DECLARE-TIMI 58のサブ解析。
評価項目は,心血管死+心不全による入院の複合とその構成要素,および全死亡。
●デザイン 無作為化比較試験のサブ解析。
●試験期間 追跡期間は中央値4.2年。
●対象患者 2型糖尿病患者17,160例。アテローム性動脈硬化症(ASCVD)または複数のASCVD危険因子を有し,クレアチニンクリアランス≧60mL/分の者。
除外基準:NYHA心機能分類 IV。
●方法 DECLARE-TIMI 58試験の全参加者のベースライン時の心不全(HF)の状況を調査し,可能であればLVEFのデータも入手。LVEFの低下した心不全(HFrEF)はLVEF<45%の場合と定義した。
●結果 HFrEFは671例,LVEFが保たれたHF既往(非HFrEF)は1,316例,HF既往なしは15,173例であった。
dapagliflozinはHFrEF患者(HR 0.62[95%CI 0.45-0.86])で非HFrEF患者(0.88[0.76-1.02])よりも心血管死/HFによる入院を減少させたが(P for interaction=0.046),非HFrEF患者(HR 0.88[0.66-1.17])とHF既往なしの患者(HR 0.88[0.74-1.03])における治療効果は類似していた。
dapagliflozinは,心不全による入院を,HFrEF患者(HR 0.64[0.43-0.95]),非HFrEF患者(HR 0.76[0.62-0.92])ともに有意に減少させたが,心血管死については,HFrEF患者のみで減少し(HR 0.55[0.34-0.90]),非HFrEF患者では減少させなかった(HR 1.08[0.89-1.31],P for interaction 0.012)。
全死亡についても,dapagliflozinはHFrEF患者では減少させたが(HR 0.59[0.40-0.88]),非HFrEF患者では減少させなかった(HR 0.97[0.86-0.88],P for interaction=0.016)。
●結論 2型糖尿病患者において,dapagliflozinはHFrEF患者,非HFrEF患者ともに心不全による入院を減少させたが,心血管死+心不全による入院の複合はHFrEF患者のみで減少した。