編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Lowe WL Jr, Scholtens DM, Kuang A, Linder B, Lawrence JM, Lebenthal Y, McCance D, Hamilton J, Nodzenski M, Talbot O, Brickman WJ, Clayton P, Ma RC, Tam WH, Dyer AR, Catalano PM, Lowe LP, Metzger BE; HAPO Follow-up Study Cooperative Research Group. Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome Follow-up Study (HAPO FUS): Maternal Gestational Diabetes Mellitus and Childhood Glucose Metabolism. Diabetes Care. 2019; 42: 372-80. [PubMed]

本研究による知見は,多くの糖尿病治療に携わっている医師にとっては,納得できる結果であろう。
小生は,診ている女性患者の家族構成を聞き,その方に娘がいる際には,OGTT時のインスリン分泌動態を測定するようお勧めしている。その結果を見せていただくと,極めて高率に低インスリン分泌動態を呈していることがわかる。かかる例では,妊娠後期に,食後高血糖が発症していないか,妊娠糖尿病を発症していないか,頻回に計測してもらうように説得している。その結果,ほぼ100%が妊娠糖尿病を発症していることに気が付く。
2型糖尿病疾患感受性遺伝子検索によりその候補は200にも及んでいるが,「血糖上昇時のインスリン分泌の遅延,さらには分泌量低値」を規定している遺伝子はいまだ見つかっていない。科学的研究のさらなる発展に期待したい。【河盛隆造

●目的 妊娠中の母体の血糖値と子どもの血糖アウトカムの関連を検討した。
一次アウトカムは小児の空腹時血糖異常(IFG),耐糖能異常(IGT)。
その他のアウトカムは小児の75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)による,食後30分,1時間,2時間の血糖値(PG),Cペプチド値,A1c値。
●デザイン 集団ベース研究,多施設(10施設)。
●試験期間 登録期間は2013~2016年。
●対象患者 4,160例:母親が妊娠28週までに75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を受けた10~14歳の小児のうち,1回以上の空腹時血糖(FPG)値の測定に加え,他の時間にOGTTを測定しているか,あるいは糖尿病治療中の者。
登録基準:OGTTのデータがケア提供者および参加者に対して盲検化されていること,出産時の妊娠期間≧37週。
除外基準:おもな新生児奇形または胎児/新生児死亡。
●方法 母体の血糖値と周産期有害アウトカムの関連を検討した国際的コホート研究(Hyperglycemia and Adverse Pregnancy Outcome[HAPO])のデータを用いた。
小児のIFGはFPG 5.6~6.9 mmol/L(ADA基準),IGTは2時間PG 7.8~11.0 mmol/Lと定義。
●結果 母体のFPGは小児のFPGおよびA1c値と正の関連を示した。母体の食後1時間および2時間PGは小児の空腹時,食後30分,1時間および2時間PG,およびA1c値と正の関連を示した。
母体のFPG,食後1時間,2時間PGはインスリン感受性と負の関連を示し,食後1時間および2時間PGは糖処理指数と負の関連を示した。
母体のFPGは小児のIFGと関連したが,母体の1時間および2時間PGは小児のIFGとは関連しなかった。また,母体の食後1時間,2時間PGは小児のIGTと関連したが,母体のFPGは関連しなかった。
これらすべての関連は母体および小児のBMIとは独立したものであった。
母体の血糖カテゴリーが高くなるほど,小児のIFGとIGT,およびPG定期測定とA1cは高くなる一方,インスリン感受性および糖処理指数は低下した。
●結論 母体の血糖値がいずれの範囲にあっても,子宮内での高血糖暴露は小児の血糖値およびインスリン抵抗性と有意に関連したが,その関連は母体および小児のBMIや糖尿病家族歴とは独立したものであった。