編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Kramer CK, Campbell S, Retnakaran R. Gestational diabetes and the risk of cardiovascular disease in women: a systematic review and meta-analysis. Diabetologia. 2019; 62: 905-14. [PubMed]

日常診療で診ている患者から「娘が結婚する」と聞くと,われわれはOGTTを勧めている。すると,インスリン分泌のピークが遅れ,かつレベルが低いことを観察することが少なくない。そのような例では,妊娠後期に妊娠糖尿病を発症する例が多い。出産後には糖尿病が消失するが,「遅延インスリン分泌動態」は変わらない。そしてその後,軽度のインスリンの働きの低下が出現すると,たとえ2型糖尿病を発症していなくても“食後過血糖”を呈することになる。この時期に動脈硬化性病変が発症・進展することが,頸動脈エコーなどで証明されている。
今回の成績はこのような自然経過を示しているのではなかろうか。妊娠糖尿病の既往のある例には,軽度のインスリンのはたらきの低下を防止すべく,身体活動の増加,脂質摂取過多など生活習慣に留意し続けてもらうように指導すべきであろう。【河盛隆造

●目的 妊娠糖尿病(GDM)がその後の心血管疾患(CVD)発症リスクに与える影響について検討し,さらにその影響は2型糖尿病発症と関連するか否かを検討した。
●デザイン システマティックレビュー,メタアナリシス。
●試験期間 追跡期間は平均1.0~25.7年。
●対象患者 観察研究9件,5,390,591例(心血管イベント発生数101,424件[GDMの女性8,003例,非GDMの女性93,421例])。
試験の採用基準:女性(GDMの有無を問わない)に関する観察研究で,各群におけるCVDイベント発生数が報告され,CVDイベントに致死性/非致死性虚血性心疾患および脳血管疾患が含まれた研究。
試験の除外基準:CVDアウトカムが自己報告あるいはサロゲートマーカーのみの研究。
●方法 EMBASEおよびPubMedより,1950年1月1日~2018年8月30日に発表された関連の研究を検索。2名の独立したレビュアーが,観察研究のメタ解析を実施した。
●結果 試験間の異質性が認められ(I2=98.6%,p<0.001),出版バイアスは認められなかった(P=0.25)。
非既往女性にくらべGDM既往女性では,CVDイベント発生リスクが有意に増加した(RR 1.98,95%CI 1.57-2.50)。
メタ回帰解析の結果では,いずれの試験においても,2型糖尿病への進展はGDM既往女性におけるCVDイベント発症リスクとは関連しなかった。GDM既往女性のうち,2型糖尿病を発症しなかった女性のみでの検討を行ったところ,GDM非既往女性にくらべ,CVDイベント発生リスクが高かった(RR 1.56,95%CI 1.04-2.23)。
GDM既往女性では,非既往女性にくらべ,分娩後10年間における心血管イベントリスクが有意に高かった(RR 2.31,95%CI 1.57-3.39)。
●結論 GDM既往女性は,2型糖尿病に進展しなかったとしても,CVD発生の高リスク集団であるため,早期に危険因子を監視し,修正することが,死亡を抑制する一助となる可能性が示唆された。