編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wang W, Nevárez L, Filippova E, Song KH, Tao B, Gu L, Wang F, Li P, Yang J. Efficacy and safety of once-weekly dulaglutide versus insulin glargine in mainly Asian patients with type 2 diabetes mellitus on metformin and/or a sulphonylurea: A 52-week open-label, randomized phase III trial. Diabetes Obes Metab. 2019; 21: 234-43. [PubMed]

最近わが国の2型糖尿病患者でも頻用されるようになった1日1回投与の持効型インスリンであるglargineを用いたBOT(basal supported oral therapy)と,週1回投与のGLP-1受容体作動薬であるdulaglutideについて,有効性と安全性を検討した試験の報告である。26週でのHbA1cの低下度は,glargine投与群に比べて,dulaglutide1.5mgあるいは0.75mg投与群のほうがより大であった。空腹時血糖値は3群でほぼ同等に低下したが,食後血糖値はdulaglutide投与群でより低値であった。dulaglutide投与群で低血糖の発生率も低かった。一方,消化器症状の発生率はdulaglutide1.5mgあるいは0.75mg投与群のほうが高く,その一部は本薬の投与の中止に至った。なお,glargineは6単位から開始し,空腹時血糖値が72~100mg/dLになるように調節され,26週での投与量は22単位であった。dulaglutideの週1回投与による治療は,今後の2型糖尿病治療において有用な選択の一つとなるであろう。【片山茂裕

●目的 主にアジア人のmetforminおよび/またはスルホニル尿素(SU)薬投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,週1回dulaglutideとインスリンglargineの有効性と安全性を比較した。
主要評価項目は,26週後のHbA1cの変化。
●デザイン 無作為,パラレル,オープンラベル,実薬対照,非劣性,多施設(中国,ロシア,メキシコ,韓国の45施設),第3相。
●試験期間 試験期間は52週。
●対象患者 2型糖尿病患者774例。アジア人83.6%。平均年齢55歳,女性44.8%,平均罹病期間8.1年。
登録基準:≧18歳,罹病期間≧6ヵ月,BMI≧19.0~≦35.0kg/m2,3ヵ月以上およびスクリーニング前8週以上のmetforminおよび/またはSU薬を服用している者,HbA1c≧7.0~≦11.0%。
除外基準:1型糖尿病,臨床的に重大な胃内容排出異常,膵炎の既往,血清カルシトニン≧20ng/L,インスリン治療中の者,3ヵ月以内のGLP-1受容体作動薬による治療を受けている者。
●方法 対象患者をdulaglutide 1.5mg群(258例),dulaglutide 0.75mg群(257例),glargine群(259例)に1:1:1にランダム化。
dulaglutideは週1回皮下注射,glargineは1日1回皮下注射とした。
glargine群ではランダム化を実施した日の就寝前に投与を開始し,2~4日前の空腹時血糖(FPG)の平均値により初期投与量を決定した。毎朝FPGを測定し,PFG 4.0~5.6 mmol/Lとなるようglargineの用量を調節した。
試験期間中,metforminおよび/またはSU薬は継続した。
●結果 26週後のHbA1cの最小二乗平均変化は,dulaglutide 1.5mg群-1.73%,dulaglutide 0.75mg群-1.33%,glargine群-1.16%で,glargineに対する両dulaglutideの統計学的優越性が示された(推定群間差はそれぞれ-0.57%[p<0.001],-0.18%[p=0.037])。
26週後のHbA1c<7.0%達成率は,dulaglutide 1.5mg群(64.8%)と0.75mg群(52.8%)で,glargine群(40.0%)より有意に高かった(それぞれp<0.001,p=0.004)。
26週後の体重の最小二乗平均変化は,dulaglutide 1.5mg群と0.75mg群では減少し(それぞれ-1.47kg,-0.88kg),glargine群では増加した(+0.97kg)。
総低血糖の発生率(件/人/年)は,dulaglutide 1.5mg群1.27,dulaglutide 0.75mg群0.98,glargine群2.13であった。
消化管有害事象(下痢,悪心を含む)の発生率は,dulaglutide 1.5mg群と0.75mg群でglargine群より高かった(それぞれ31.4%,26.1%,7.9%)。
●結論 metforminおよび/またはSU薬投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,週1回dulaglutideは1日1回インスリンglargineに比し,HbA1c改善と体重減少の程度が大きく,低血糖が少なかった。