編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Zinman B, Bhosekar V, Busch R, Holst I, Ludvik B, Thielke D, Thrasher J, Woo V, Philis-Tsimikas A. Semaglutide once weekly as add-on to SGLT-2 inhibitor therapy in type 2 diabetes (SUSTAIN 9): a randomised, placebo-controlled trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019; 7: 356-67. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬(GLP-1 RA)とSGLT2阻害薬(SGLT2i)については心腎血管イベントの予防についても有効性が示され,ADA/EASDのガイドラインでは心血管病および慢性腎臓病を有する場合にはmetforminに次ぐ第2選択薬として位置付けられている。
SGLT2iとGLP-1RAの併用効果を検討した本研究SUSTAIN9では,semaglutide群においてHbA1cと体重減少に臨床的に意味のある改善が示された。また,semaglutide群では冠状動脈疾患の危険因子である収縮期血圧およびLDLコレステロールにも改善が認められた。一方,重症低血糖は1例のみであった。
GLP-1RAとSGLT2iの併用はそれぞれの単独療法より心血管疾患の予防効果が優れているか否かは今後の検討に待たなければならないが,その期待を抱かせる結果である。
なお,本研究で用いられたsemaglutideは週1回の注射製剤であるが,semaglutideについては経口剤が開発され,既に本邦でも製造販売承認申請がなされている。【景山 茂

●目的 90日以上のSGLT2阻害薬投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,semaglutide追加の有効性と安全性を検討した。
主要評価項目は,30週後のHbA1c変化。副次評価項目は,30週後の体重変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,パラレル,プラセボ対照,多施設(オーストリア,カナダ,日本,ノルウェー,ロシア,米国の61施設),第3b相。
●試験期間 登録期間は2017年3月15日~12月4日。試験期間は30週。
●対象患者 302例:HbA1c 7.0~10.0%の成人2型糖尿病患者。平均年齢57.0歳,HbA1c 8.0%,糖尿病罹病期間9.7年,体重91.7kg,BMI 31.9,SBP/DBP 129.7/78.8 mmHg,心拍数74.1 bpm。
登録基準:安定用量のSGLT2阻害薬による治療中でSGLT2阻害薬治療の開始がスクリーニングの90日以上前。
除外基準:推算糸球体濾過量<60mL/分/1.73m2,NIYHAクラスIV心不全,90日以内の急性治療を要する増殖性網膜症または黄斑変性症。
●方法 semaglutide群(151例),プラセボ群(151例)に1:1にランダム化し,週1回皮下注で投与。
semaglutide用量は,1~4週目は0.25mg,5~8週目は0.5mg,9週目以降は1.0mgとした。
SGLT2阻害薬を含む既存の糖尿病治療薬は試験期間中も継続した。
●結果 semaglutide群の1例は治療を行わなかった(理由不明)。
試験を完遂したのは294例(97.4%),治療を完遂したのは267例(88.4%)であった。
SGLT2阻害薬のほか,216例(71.5%)がmetformin,39例(12.9%)がスルホニル尿素薬を使用していた。
semaglutide群はプラセボ群に比し,30週後のHbA1c低下度が有意に大きく(-1.5 vs. -0.1%;推定群間差-1.42%[95%CI -1.61 to -1.24],p<0.0001),体重減少度が有意に大きかった(-4.7 vs. -0.9kg;推定群間差-3.81kg[-4.70 to -2.93],p<0.0001)。
有害事象(AE)の報告は,semaglutide群104例(69.3%)の356件,プラセボ群91例(60.3%)の247件であった。重篤なAEは,semaglutide群7例(4.7%)の13件,プラセボ群6例(4.0%)の6件。AEによる治療の早期中止は,semaglutide群13例(8.7%),プラセボ群3例(2.0%)。試験期間の死亡はなかった。
両群ともに頻度の高いAEは消化管障害で,semaglutide群56例(37.3%),プラセボ群20例(13.2%)。
重度または血糖値が3.1 mmol/L (55.8 mg/dL) 未満と確認された低血糖イベントは,semaglutide群4例(2.7%),プラセボ群0例(0%)であった。
収縮期血圧は第30週において,semaglutide群において4.7 mm Hg下降,placebo群では1.6 mm Hg上昇し,群間差は6.32 mm Hgであった(p<0.0001)。LDLコレステロールはsemaglutide群においてplacebo群より有意に低下した(p<0.0001)。
●結論 SGLT2阻害薬投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,semaglutide追加により血糖コントロールが有意に改善し,体重が有意に減少し,全般的な忍容性は良好であった。