編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Svanström H, Ueda P, Melbye M, Eliasson B, Svensson AM, Franzén S, Gudbjörnsdottir S, Hveem K, Jonasson C, Pasternak B. Use of liraglutide and risk of major cardiovascular events: a register-based cohort study in Denmark and Sweden. Lancet Diabetes Endocrinol. 2019; 7: 106-14. [PubMed]

GLP-1受容体作動薬の心血管イベント発症に対する抑制効果は,薬剤による差はあるものの,いくつかの大規模臨床試験で証明されている。これが日常臨床においても当てはまるか否かは極めて重要な疑問である。
そこで本研究は,2型糖尿病患者を対象として,最も高頻度で処方されているDPP-4阻害薬を対照に,データベースを用いて解析を行った。その結果,liraglutideの心血管イベントに対する効果が示された。ただし,本研究において心血管イベントの抑制に最も寄与しているのは心血管死であるということは,以前の研究結果と比べると予想外であり,その作用メカニズムを考えるうえで興味深いデータであった。【綿田裕孝

●目的 日常診療を受けている2型糖尿病患者において,liraglutideの心血管有効性を検討した。
主要評価項目は,主要心血管イベント(MCE:心筋梗塞+脳卒中+心血管死)。
●デザイン コホート。
●試験期間 登録期間は2010年1月1日~2016年12月31日。追跡期間は平均3.3年。
●対象患者 metforminを使用しており,liraglutideまたはDPP-4阻害薬を新たに使用した2型糖尿病患者(各23,402例,計46,804例)。
●方法 デンマークとスウェーデンの全国登録データを使用し,年齢,性別,傾向スコアを合致させたliraglutide新規使用患者とDPP-4阻害薬新規使用患者を1:1で抽出した。
●結果 MCEの発生は,liraglutide患者1,132例(発生率14.0件/1000人-年),DPP-4阻害薬患者1,141例(発生率15.4件/1000人-年)で,liraglutide使用によりMCEリスクが有意に低下した(ハザード比[HR]0.90,95%CI 0.83-0.98)。
心血管疾患既往のある患者とない患者のMCEのHRはそれぞれ0.81(95%CI 0.71-0.92),0.96(95%CI 0.86-1.06)で,有意な不均一性は認めなかった(均一性p=0.057)。
liraglutideはDPP-4阻害薬に比し,心血管死リスクを有意に低下させたが(HR 0.78,95%CI 0.68-0.91),心筋梗塞リスク(HR 0.94,95%CI 0.84-1.06),脳卒中リスク(HR 0.88,95%CI 077-1.01)の有意な低下は認められなかった。
liraglutideは全死亡リスクも有意に低下させたが(HR 0.83,95%CI 0.77-0.90),心不全リスク(HR 0.90,95%CI 0.80-1.03),MCE+他の虚血性心疾患+冠動脈血行再建術+末梢動脈疾患リスク(HR 0.95,95%CI 0.89-1.01)の有意な低下は認められなかった。
●結論 日常診療の2型糖尿病患者において,liraglutideはDPP-4阻害薬に比し,MCEリスクを有意に低下させた。