編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mann JFE, Fonseca V, Mosenzon O, Raz I, Goldman B, Idorn T, von Scholten BJ, Poulter NR. Effects of Liraglutide Versus Placebo on Cardiovascular Events in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus and Chronic Kidney Disease. Circulation. 2018; 138: 2908-18. [PubMed]

2型糖尿病患者では最終的に40%の患者が糖尿病性腎臓病(DKD)を合併する。 そして,DKDを合併した2型糖尿病患者で心疾患血管(CV)イベントが高頻度となることはよく知られている。
本報告は,LEADER試験の腎機能別のサブ解析である。腎機能をベースライン時のeGFR<60mL/分/1.73m2または≧60mL/分/1.73m2,ベースライン時の微量/顕性アルブミン尿または正常アルブミン尿の有無別に分類し,CVアウトカムを評価している。その結果,liraglutideのプラセボに対する一次エンドポイントのハザード比(HR)は,eGFR<60mL/分/1.73m2群でのみ0.69と有意に低値であり,≧60mL/分/1.73m2群では0.9であった。微量/顕性アルブミン尿群と正常アルブミン尿群では,プラセボ群に比してそれぞれ0.83(95%CI 0.71-0.97),0.92(95%CI 0.79-1.07)であったが,有意な相互作用を認めなかった。eGFR<60mL/分/1.73m2で微量/顕性アルブミン尿を有する群でのHRは0.63(95%CI 0.49-0.982)であり,eGFR≧60mL/分/1.73m2,で正常アルブミン尿の群でもHRは0.93(95%CI 0.82-1.05)と中等度のリスク低下率を示した。
以上より,2型糖尿病患者において,標準治療に加えてliraglutideを追加することは,腎機能低下の程度に関わらず,様々なCVや全死亡の低減に有効な治療戦略であることが明らかである。有害事象についても,腎機能低下の程度に関わらず,大きな差違はみられなかったことも特記される。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病患者において,心血管(CV)アウトカムに対するliraglutideの効果を腎機能別に検討した。
主要評価項目は,CV死+非致死的心筋梗塞(MI)+非致死的脳卒中。副次評価項目は,CV死+非致死的MI+非致死的脳卒中+冠動脈血行再建術+不安定狭心症または心不全による入院,CV死,全脳卒中,全MI,全死亡。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(32ヵ国,410施設)。
●試験期間 試験期間は36ヵ月。
●対象患者 HbA1c≧7.0%の2型糖尿病患者9,340例。
登録基準:≧50歳かつ1つ以上のCV疾患(MIまたは脳卒中の既往,冠動脈・頸動脈・末梢動脈血行再建術の既往,狭窄>50%,冠動脈心疾患,ステージ≧3の慢性腎臓病[CKD],慢性心不全[NYHAクラスII~III]),≧60歳かつ1つ以上のCVリスク因子(微量/顕性アルブミン尿,高血圧,左室肥大,左室収縮・拡張機能障害,足首上腕指数<0.9)。
●方法 LEADERでは,liraglutide 1.8mg群,プラセボ群にランダム化し,標準治療に追加投与。
本解析では,ベースラインの推算糸球体濾過量(eGFR)<60mL/分/1.73m2または≧60mL/分/1.73m2,ベースラインの微量/顕性アルブミン尿または正常アルブミン尿の有無別に分類し,アウトカムを評価した。
●結果 主要評価項目についてのliraglutideのプラセボに対するハザード比(HR)は,eGFR<60mL/分/1.73m2群(2,158例)は0.69(95%CI 0.57-0.85),≧60mL/分/1.73m2群(7,182例)は0.94(95%CI 0.83-1.07)で,有意な相互作用を認めたが(p=0.01),微量/顕性アルブミン尿群(3,422例)と正常アルブミン尿群(5,715例)ではそれぞれ0.83(95%CI 0.71-0.97),0.92(95%CI 0.79-1.07)で,有意な相互作用を認めなかった(p=0.36)。
その他のアウトカムについてのliraglutideのHRも,eGFR<60mL/分/1.73m2群は≧60mL/分/1.73m2群より低かった(非致死的MI:0.74 vs. 0.93[相互作用p=0.19],非致死的脳卒中:0.51 vs. 1.07[相互作用p=0.004],CV死:0.67 vs. 0.84[相互作用p=0.24],全死亡:0.74 vs. 0.90[相互作用p=0.19])。
●結論 CKDを有する2型糖尿病患者において,標準治療へのliraglutide追加は主要CVイベントと全死亡のリスクを低下させることが示唆された。