編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Tuttle KR, Lakshmanan MC, Rayner B, Busch RS, Zimmermann AG, Woodward DB, Botros FT. Dulaglutide versus insulin glargine in patients with type 2 diabetes and moderate-to-severe chronic kidney disease (AWARD-7): a multicentre, open-label, randomised trial. Lancet Diabetes Endocrinol. 2018; 6: 605-17. [PubMed]

従来は,中等度から高度に腎機能が低下した糖尿病患者では,インスリンを含め血糖降下薬の選択や使用量の調節に苦慮することが多かった。最近,GLP-1受容体作動薬であるliraglutideやsemaglutideは腎臓に対して有害な作用はなく,むしろ顕性アルブミン尿の発症を遅らせ,eGFRの低下速度を緩やかにするなど,腎保護作用を有することが明らかにされてきた(LEADERSUSTAIN 6)。
今回の検討は,中等度から高度に腎機能が低下した2型糖尿病患者で,週1回投与のdulaglutide(1.5mgと0.75mg)とインスリンglargineの血糖降下作用と腎機能に及ぼす影響を52週にわたり検討している。その結果,インスリンglargineに対して,dulaglutide(1.5mgと0.75mg)の血糖降下作用においは非劣性であり,eGFR低下速度,UACRに対する改善作用はやや優ることが示された。有害事象としての年間の低血糖の発症頻度はdulaglutide 1.5mg群で4.4件,dulaglutide 0.75mg群で4.3件と,インスリンglralgineの9.6件に比べて有意に低かった。また,インスリンglralgine 群で体重が増加したのに比し,dulaglutide両群では体重が2~3 kg減少した。
GLP-1受容体作動薬の腎保護作用の機序については,今後のさらなる検討が必要であるが,プロテインキナーゼC(PKC)活性・酸化ストレス・炎症などを軽減させることなどがあげられている。いずれにしても,GLP-1受容体作動薬は中等度から高度に腎機能が低下した2型糖尿病患者の治療における重要な治療戦略の一つになるであろう。【片山茂裕

●目的 中等度~重度の慢性腎臓病(CKD)を有する2型糖尿病患者において,dulaglutideの有効性と安全性を検討した。
主要評価項目は26週後のHbA1cの変化。副次評価項目は推算糸球体濾過量(eGFR)・尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)・体重の変化,低血糖の発症頻度,アレルギー反応。
●デザイン 無作為,オープンラベル,パラレル,多施設(ブラジル,ハンガリー,メキシコ,ポーランド,ルーマニア,南アフリカ,スペイン,ウクライナ,米国の99施設)。
●試験期間 登録期間は2012年8月15日~2015年11月30日。2016年12月20日試験完了。試験期間は52週。
●対象患者 ≧18歳でCKD(ステージ3~4)を有する2型糖尿病患者577例。
登録基準:HbA1c 7.5~10.5%,インスリン+経口血糖降下薬治療またはインスリン単独治療,最大耐用量のACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬治療。
除外基準:1型糖尿病,インスリンを併用しない経口血糖降下薬による治療,GLP-1受容体作動薬またはDPP-4阻害薬治療,ステージ5 CKD,維持透析治療,試験中に透析または腎移植を要する可能性,2ヵ月以内の急性腎障害。
●方法 dulaglutide 1.5mg週1回群(193例),dulaglutide 0.75mg週1回群(190例),インスリンglargine群(194例)に1:1:1にランダム化。全群で食事時のインスリンlisproを併用した。
本試験は,3~13週のスクリーニング期間およびlead-in期間と,52週の治療期間,4週のフォローアップ期間より構成される。試験期間中には22回のvisitが設けられた。
試験前に経口血糖降下薬による治療を受けていた者は,最初の週に中止し,インスリンは12週のlead-in期間に最適化した。インスリン治療のみを受けていた者は,3週のlead-in期間中に最適化した。
●結果 26週後のHbA1cはすべての治療群で有意に低下し,最小二乗平均(LSM)はdulaglutide 1.5mg群-1.2%,dulaglutide 0.75mg群-1.1%,glargine群-1.1%であった(すべてp<0.0001)。26週後のHbA1cの変化について,両dulaglutide群はglargine群に対して非劣性であった(非劣性マージン0.4%;glargine群に対する26週後のHbA1c値のLSM差:dulaglutide 1.5mg群-0.05%,dulaglutide 0.75mg群0.02%;いずれも片側p≦0.0001)。
HbA1c低下効果は52週後まで持続した(LSMはdulaglutide 1.5mg群-1.1%,dulaglutide 0.75mg群-1.1%,glargine群-1.0%;すべてp<0.0001)。
52週後のeGFRは,両dulaglutide群でglargine群よりも有意に高かった(LSMはdulaglutide 1.5mg群34.0mL/分/1.73m2,dulaglutide 0.75mg群33.8mL/分/1.73m2,glargine群31.3mL/分/1.73m2)。
52週後のUACR低下度は,両dulaglutide群とglargine群で有意差を認めなかった(LSMはdulaglutide 1.5mg群-22.5%,dulaglutide 0.75mg群-20.1%,glargine群-13.0%)。
重篤な有害事象率は3群で同等で,dulaglutide 1.5mg群20%(38/192例),dulaglutide 0.75mg群24%(45/190例),glargine群27%(52/194例)であった。
両dulaglutide群はglargine群に比し,悪心と下痢の発症頻度が高く,症候性低血糖の発症頻度が低かった。
38例が末期腎疾患に進展した(dulaglutide 1.5mg群4%[8/192例],dulaglutide 0.75mg群7%[14/190例],glargine群8%[16/194例])。
●結論 中等度~重度CKDを有する2型糖尿病患者において,週1回dulaglutideによりインスリンglargineと同等の血糖コントロールが達成でき,eGFR低下度は小さいことが示唆された。