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Hero C, Rawshani A, Svensson AM, Franzén S, Eliasson B, Eeg-Olofsson K, Gudbjörnsdottir S: Association Between Use of Lipid-Lowering Therapy and Cardiovascular Diseases and Death in Individuals With Type 1 Diabetes. Diabetes Care. 2016; 39: 996-1003. [PubMed]
1型糖尿病患者での心血管疾患および死亡に対する,一次予防での脂質低下療法の効果を検討した研究であり,スタチン投与の有用性がはっきりと示されている。日本人の1型糖尿病における心血管疾患の発症率は本研究よりもかなり低いため,この結果が日本人患者に当てはまるか否かについては今後の検討が不可欠である。【綿田裕孝】
●目的 | 1型糖尿病患者において,心血管疾患(CVD)および死亡に対する一次予防での脂質低下療法(LLT)の効果を検討した。 評価項目は,CVD(急性心筋梗塞[AMI],脳卒中,冠動脈性心疾患[CHD],CVD死),全死亡。 |
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●デザイン | 縦断的コホート研究。 |
●試験期間 | 2012年12月31日追跡終了。追跡期間は平均6.0±1.0年(146,553人-年)。 |
●対象患者 | 24,230例:2006年1月1日~2008年12月31日にスウェーデン全国糖尿病登録に登録されたCVD既往のない1型糖尿病患者。 |
●方法 | ベースラインの32の臨床的および社会経済的変数からLLTの傾向スコアを算出し,全コホートにおけるLLTの効果推定に使用。 LLT実施患者(5,387例)と非実施患者(18,843例)で,CVDと全死亡のリスクを比較した。 |
●結果 | 傾向スコアを合致させた後,LLT実施患者と非実施患者で患者特性に差は認められなかった(各4,025例)。 全コホートにおけるLLT非実施患者に対する実施患者のハザード比は,CVD死0.60(95%CI 0.50-0.72),全死亡0.56(95%CI 0.48-0.64),致死的/非致死的脳卒中0.56(95%CI 0.46-0.70),致死的/非致死的AMI 0.78(95%CI 0.66-0.92),致死的/非致死CHD 0.85(95%CI 0.74-0.97),致死的/非致死的CVD 0.77(95%CI 0.69-0.87)であった。 |
●結論 | CVD既往のない1型糖尿病患者において,LLTはCVDおよび死亡のリスクを22~44%低下させたことから,LLTによる一次予防の重要性が明らかとなった。 |
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