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Horie I, Kawasaki E, Sakanaka A, Takashima M, Maeyama M, Ando T, Hanada H, Kawakami A: Efficacy of nutrition therapy for glucose intolerance in Japanese women diagnosed with gestational diabetes based on IADPSG criteria during early gestation. Diabetes Res Clin Pract. 2015; 107: 400-6. [PubMed]
一般診療では,妊娠時に食後尿糖や食後血糖値の測定により,妊娠糖尿病の有無をチェックしている。しかし今回の成績より,とくに両親のいずれかが2型糖尿病である例では,より早期にOGTTを実施し,血糖応答のみならずインスリン分泌動態も把握したうえで予後を予測し,フォローすべきであることが示された。【河盛隆造】
●目的 | 妊娠初期に妊娠糖尿病を発症した女性において,適切な栄養療法は妊娠中期における耐糖能障害を改善するかを後向きに検討した。 |
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●デザイン | 縦断研究,単施設(長崎大学病院,日本)。 |
●試験期間 | ベースライン評価は1990~2010年。 |
●対象患者 | 41例:妊娠初期(妊娠20週前)に75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)(ベースライン)で異常を認めた早期発症型妊娠糖尿病(International Association of Diabetes and Pregnancy Study Group基準による)で,適切な栄養療法および3度にわたるOGTT(ベースライン,妊娠24~32週[妊娠中期],出産後4~8週[分娩後])を実施した日本人女性。 除外基準:受胎前の耐糖能障害,妊娠中の顕性糖尿病(空腹時血糖値≧126 mg/dL,2時間血糖値≧200 mg/dL,またはHbA1c≧6.5%)。 |
●方法 | 栄養療法は,栄養士の指導により,肥満女性(BMI≧25 kg/m2)には30 kcal/kg/日の食事(基準は,妊娠前の理想体重),非肥満女性(BMI<25 kg/m2)には35 kcal/kg/日の食事を,6回/日にわけて摂取させ,炭水化物は総カロリー量の50~60%とした。 ベースライン,妊娠24~32週,および出産後4~8週に実施したOGTTによる評価で,栄養療法によって「耐糖能が正常化した女性」と「正常化しなかった女性」に分け,多変量ロジスティック回帰分析によりアウトカムに影響する因子を検討した。 |
●結果 | 耐糖能が正常化した女性(GDM→NGT群)は18例,正常化しなかった女性(GDM→GDM群)は23例)であった。妊娠中,GDM→GDM群では39.1%がインスリン療法を必要としたが,GDM→NGT群ではインスリン療法を必要とするものはなかった。 分娩後に2型糖尿病または耐糖能障害を発症した割合は,GDM→NGT群(5.6%)のほうが,GDM→GDM群(39.1%)よりも有意に低かった(p=0.03)。また,OGTTのtime-by-group interactionについても,有意な群間差を認めた。 栄養療法により耐糖能障害が改善する有意な予測因子は初産のみであり(オッズ比12.2,95%信頼区間 1.84-81.5,p=0.009),妊娠初期のOGTTの血症グルコース値については,空腹時(p=0.11),1時間後(p=0.84),2時間後(p=0.61)のいずれも,有意な予測因子とはならなかった。 |
●結論 | 早期発症型妊娠糖尿病の女性に対する適切な栄養療法は,妊娠中の耐糖能改善に効果がある可能性が示された。また,妊娠中期のOGTT負荷試験は,妊娠中期以降に実施すべき適切な治療を予測するのに有用である可能性が示唆された。 |
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