編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年1月現在,1223報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Look AHEAD Research Group: Impact of intensive lifestyle intervention on depression and health-related quality of life in type 2 diabetes: the Look AHEAD Trial. Diabetes Care. 2014; 37: 1544-53. [PubMed]

2型糖尿病患者では,非糖尿病例と比べてうつ症状が出現しやすいことが知られている。
本研究では,とくに肥満の解消を目指す生活習慣改善が,うつ症状の解消に有効であることが示された。
最近の研究により,脳でのブドウ糖およびインスリンの有効利用が,脳機能に大きな影響を与えることが明らかとなってきた。今後は,生活習慣への介入が脳への効果をもたらす機序が明らかになるであろう。【河盛隆造

●目的 過体重/肥満の2型糖尿病患者において,うつ症状,抗うつ薬(ADM)使用および健康に関するQOL(HRQoL)の長期間での変化に対し,強化ライフスタイル介入(ILI)と糖尿病サポート・教育(DSE)介入の効果を比較した。
●デザイン 無作為,多施設(米国の16施設)。
●試験期間 追跡期間は平均9.6年。
●対象患者 5145例:過体重または肥満の2型糖尿病患者。平均58.7歳,平均BMI 36.0kg/m2,糖尿病罹病期間平均6.8年。
登録基準:45~76歳,BMI≧25.0kg/m2(インスリン投与例では≧27.0kg/m2),HbA1c<11%,収縮期血圧<160mmHg,拡張期血圧<110mmHg,トリグリセリド値<600mg/dL。
除外基準:精神病の診断,あるいは過去6ヵ月以内のうつ病による入院歴。
●方法 ILI群(2570例),あるいはDSE群(2575例)に無作為に割り付け。
ILI群では,≧7%の減量およびその維持を目標とし,目標摂取カロリー1200~1800kcal/日(脂肪によるカロリー摂取を総カロリーの<30%とし,総カロリーの≧15%を蛋白質から摂取),目標運動量≧175分/週として,グループセッションおよび個人面談を実施(最初の6ヵ月は毎週,次の6ヵ月は月3回,その後は月1回以上)。また年に2~3回は減量ないし運動目標を達成する6~8週間のプログラムに参加。
DSE群では,最初の4年間は年3回,その後は年1回,食事・運動・社会支援に関するグループセッションを実施。
Beck Depresstion Inventory(BDI)をベースライン時,1~4年時および8年時に測定し,平均BDIとBDI≧10(中等度ないし重度のうつによりうつ症状を評価した。自己報告によるADMの使用を調査し,身体構成要素(PCS)と精神構成要素(MCS)からなる質問票SF-36によりHRQoLスコアを評価した。
●結果 ILI群ではDSE群に比べ,中等度および重度のうつ症状の発症(BDIスコア≧10)有意に低下した(ハザード比[HR]=0.85,95%CI 0.75-0.97,p=0.0145)。SF-36のPCSスコアは両群で徐々に悪化したが,最初の8年間はILI群ではDSE群よりもPCSスコアが3.2%良好に維持された(p<0.01)。ADM使用およびSF-36 MCSスコアには,有意な群間差はなかった。
●結論 過体重/肥満の2型糖尿病患者おいて,強化ライフスタイル介入は臨床的に重要なうつの進展リスクを有意に抑制し,身体の健康関連QOLを保持する可能性が示唆された。