編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Hägg S, Thorn LM, Putaala J, Liebkind R, Harjutsalo V, Forsblom CM, Gordin D, Tatlisumak T, Groop PH; FinnDiane Study Group : Incidence of stroke according to presence of diabetic nephropathy and severe diabetic retinopathy in patients with type 1 diabetes. Diabetes Care. 2013; 36: 4140-6. [PubMed]

わが国のJDCSにおいては,脳血管障害の発症率は7.45/1,000人・年と報告された。北欧で行われた本検討での脳卒中発症率はJDCSよりも低いが,脳梗塞,ラクナ梗塞,脳出血などの病型別の検討は大いに参考になるといえる。【片山茂裕】 

●目的 1型糖尿病患者における脳卒中発症率を調査し,糖尿病腎症(DN)と糖尿病網膜症(SDR)が脳卒中発症に及ぼす影響を検討した。
●デザイン コホート,多施設(77施設,フィンランド)。
●試験期間 平均追跡期間は9.0±2.7年(36,680人・年)。
●対象患者 4,083例:1型糖尿病患者。ベースライン時に脳卒中の既往がなく,追跡期間中にSDRおよび脳卒中の完全な情報が得られている患者。
●方法 対象患者を,尿中アルブミン排泄率(UAER)正常(~20<μg/分または<30mg/24h,2,482例),微量アルブミン尿(20~200μg/分または30~<300mg/24h,510例),顕性アルブミン尿(≧200μg/分または≧300mg/24h,549例),末期腎不全(ESRD)(透析治療中または腎臓移植,289例)に分類(253例は腎機能不明のため分類せず)。DNは顕性アルブミン尿またはESRDの患者,SDRは網膜症に対するレーザー治療を実施した患者と定義。
●結果 追跡期間中に脳卒中を発症した患者は149例で,その内訳は脳梗塞が105例(うち55例はラクナ梗塞),脳出血が44例であった。発症率は,脳卒中が406(95%CI 344-477)/100,000人・年,脳梗塞が286(95%CI 234-347)/100,000人・年,脳出血が120(95%CI 87-161)/100,000人・年であった。
脳卒中発症リスクはDNのステージが上がるにつれて上昇し,UAER正常例に比べた脳卒中のハザード比(HR)は,微量アルブミン尿例で3.2(95%CI 1.9-5.6),顕性アルブミン尿例で4.9(2.9-8.2),ESRD例で7.5(95%CI 4.2~13.3)となった。脳梗塞発症リスクは,顕性アルブミン尿例(HR 5.2,95%CI 2.9-9.6)とESRD例(HR 5.5,95%CI 2.7-11.3)では同様に高く,脳出血発症リスクはESRD例で著しく高かった(HR 14.9,95%CI 5.5-40.9)。
また,非SDR例に比べ,SDR例では,脳卒中発症のHRは3.0(95%CI 1.9-4.5),脳梗塞発症のHRは2.7(1.6-4.4),脳出血発症のHRは3.9(1.7-8.9)と高かった。
脳梗塞発症リスク,脳出血発症リスク,およびラクナ梗塞発症リスクは,同様に増加した。ラクナ梗塞と非ラクナ梗塞の割合は,DNのいずれのステージでも同様であった。
●結論 1型糖尿病患者において,SDRまたはDNを伴った場合は,それぞれ独立して,脳卒中発症リスク,脳梗塞発症リスク,脳出血発症リスクが上昇した。