編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Shai I, Schwarzfuchs D, Henkin Y, Shahar DR, Witkow S, Greenberg I, Golan R, Fraser D, Bolotin A, Vardi H, et al.; Dietary Intervention Randomized Controlled Trial (DIRECT) Group: Weight loss with a low-carbohydrate, Mediterranean, or low-fat diet. N Engl J Med. 2008; 359: 229-41. [PubMed]

肥満者に対する食事療法の効果を検討した成績はいくつか報告されているが,いずれも対象人数が少なく,調査期間も短い。今回のDIRECT試験は中程度の肥満者322人を対象に,低脂肪食・地中海食・低炭水化物食の影響を2年にわたり調べた貴重な成績である。
摂取エネルギーは,男性1800kcal/日,女性1500kcal/日であった。低脂肪食では,エネルギーの30%が脂肪(10%は飽和脂肪酸)からの摂取であり,コレステロール摂取は300mg/日であった。地中海食ではエネルギーの35%が脂肪(30~35gのオリーブオイルと5~7個のナッツを含む)からの摂取であり,低炭水化物食は当初の2ヵ月は炭水化物を20g/日とし,徐々に120g/日まで増加させた。
食事療法の種類にかかわらず,1~6ヵ月目にもっとも体重が減少し,2年後までこの効果が維持された。また総コレステロール/HDL-コレステロール比が減少した。2年間,食事療法を完遂した患者は38名と少数であるが,地中海食で空腹時血糖やHOMA-IRが改善し,HbA1cは食事療法の種類にかかわらず低下したが,低炭水化物食でもっとも低下することが示された。【片山茂裕

●目的 中程度の肥満者かつ2型糖尿病を有する/有さない患者において,低脂肪食,地中海食,または低炭水化物食の減量効果を比較した。
●デザイン 無作為,単施設(イスラエル)。
●試験期間 試験期間は2年(2005年7月~2007年6月)。
●対象患者 318例:BMI≧27kg/m2の40~65歳の男女(2型糖尿病または冠動脈疾患の患者は,年齢およびBMIを問わない)。平均52歳,男性86%,平均BMI 30.9kg/m2
除外基準:妊婦/授乳中の女性,血清クレアチニン≧2mg/dL,肝機能障害(アラニン・アミノトランスフェラーゼ/アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが正常上限の2倍以上),本食事試験の順守を妨げる腸疾患,現在癌に罹っている患者。
●方法 対象患者を以下の3つの食事療法にランダム化し,体重,脂質プロフィール,および糖尿病患者における血糖プロフィールに対する影響を比較した。
●結果 食事療法のコンプライアンスは1年目は95.4%で,2年目は84.6%であった。地中海食群ではもっとも食物繊維と不飽和脂肪の摂取量が多かった(P<0.05[介入群すべての比較])。低炭水化物食群では炭水化物の摂取量がもっとも少なく,脂肪,蛋白質,コレステロールの摂取量はもっとも多く,尿中ケトン体が検出された患者の割合がもっとも高かった(P<0.05[介入群すべての比較])。
平均減量は低脂肪食群-2.9kg,地中海食群-4.4kg,低炭水化物食群-4.7kgであった(P<0.001[介入群および期間])。食事介入を完遂した272例では,それぞれ-3.3kg,-4.6kg,-5.5kgであった。
LDLコレステロールに対する総コレステロールの割合の相対的低下は,低炭水化物食群20%,低脂肪食群12%であった(P=0.01)。
糖尿病患者では,地中海食群のみで空腹時血糖(FPG)が低下し(-32.8mg/dL),この変化には低脂肪食群でのFPG上昇(+12.1mg/dL)とは有意差が認められた(P<0.001[介入群および期間])。24ヵ月後のHOMA-IR値は低脂肪食群よりも地中海食群で高かった(2.3 vs 0.3,P=0.04[糖尿病,地中海食群と期間の交互作用])。24ヵ月後の糖化ヘモグロビン割合の低下は,低脂肪食群-0.4±1.3%,地中海食群-0.5±1.1%,低炭水化物食群-0.9±0.8%で,この変化は低炭水化物食群でのみ有意であった(P<0.05)。非糖尿病患者では,血糖値に変化はなかった。空腹時インスリンは,糖尿病患者,非糖尿病患者ともに低下した。
●結論 中程度の肥満者かつ2型糖尿病を有する/有さない患者において,地中海食および低炭水化物食は,低脂肪食に替わる効果的で安全な食事療法であることが示された。脂質に対しては低炭水化物食が,血糖コントロールに対しては地中海食がより優れていたことから,食事介入を個人にあわせて調整する際には患者ごとの個人的嗜好や代謝状態を考慮すべきことが示唆された。