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Ohkuma T, Fujii H, Iwase M, Kikuchi Y, Ogata S, Idewaki Y, Ide H, Doi Y, Hirakawa Y, Nakamura U, et al.: Impact of sleep duration on obesity and the glycemic level in patients with type 2 diabetes: the Fukuoka Diabetes Registry. Diabetes Care. 2013; 36: 611-7. [PubMed]
日本人2型糖尿病患者において,睡眠時間とHbA1cの関係をまとめた貴重な報告である。すでに多くの成績から,睡眠時間が短いことは,インスリン拮抗ホルモンの分泌過剰を介してインスリンの作用を低下させ,HbA1cを高める方向にはたらくことが示されている。一方,睡眠時間が長い例でなぜHbA1c値が高い傾向にあるのかについては,今後解明されるべき点であろう。【河盛隆造】
●目的 | 日本人の2型糖尿病患者において,睡眠時間と肥満,血糖レベルの関連を検討した。 |
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●デザイン | コホート,多施設(日本),前向き。 |
●試験期間 | 登録期間は2008年4月~2010年10月。 |
●対象患者 | 4870例:20歳以上の2型糖尿病患者。平均66歳,男性57%,平均糖尿病罹病期間16年,平均BMI 23.8kg/m2,肥満例31%。 除外基準:薬剤誘発性糖尿病またはステロイド治療,腎移植,進行悪性腫瘍・非代償性肝硬変などの重篤疾患,定期的な糖尿病専門医への外来が不可能な例。 |
●方法 | 対象患者を睡眠時間によって6群に分類し(4.5時間未満,4.5~5.4時間,5.5~6.4時間,6.5~7.4時間,7.5~8.4時間,8.5時間以上),睡眠時間と肥満,HbA1cレベルの関連を多重回帰分析により検討。 |
●結果 | HbA1cレベルと睡眠時間の検討では,6.5~7.4時間よりも睡眠時間が長いもしくは短い例ではHbA1cレベルが高かった(P<0.001)。この関連は,総エネルギー摂取量やうつ症状などの潜在的交絡因子を調整した後も認められた。 また,肥満は睡眠時間とU字型の関連がみられたが,肥満を調整しても,睡眠とHbA1cレベルのU字型関連は減弱しなかった。さらに,HbA1cレベルについて,睡眠時間と年齢またはインスリン使用に有意な関連が認められた。 |
●結論 | 2型糖尿病患者において,睡眠時間と肥満,HbA1cレベルには潜在的交絡因子とは独立してU字型の関連が認められたことから,睡眠時間は2型糖尿病の臨床管理における重要な修正可能因子であることが示唆された。 |
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