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Hsu PF, Sung SH, Cheng HM, Yeh JS, Liu WL, Chan WL, Chen CH, Chou P, Chuang SY: Association of clinical symptomatic hypoglycemia with cardiovascular events and total mortality in type 2 diabetes: a nationwide population-based study. Diabetes Care. 2013; 36: 894-900. [PubMed]
昨今,低血糖と合併症,死亡のリスクが関連するとの報告が増加している。本研究は台湾の約78000例の2型糖尿病患者において,重症/軽症の低血糖と大血管障害および死亡との関連を検討したものである。
本研究の結果は,アジア人においても,重症度にかかわらず低血糖自体が大血管障害,入院,全死亡のリスク因子であることを明確に示しており,重要な知見である。【西村理明】
●目的 | 2型糖尿病患者において,軽症/重症の低血糖が,臨床転帰に与える影響を検討する。 アウトカムは,脳卒中,冠動脈性心疾患,心血管疾患,全死亡。 |
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●デザイン | コホート,前向き。 |
●試験期間 | 1998~2009年。 |
●対象患者 | 77,611例:新規診断の2型糖尿病患者。 |
●方法 | 台湾の国民健康保険研究データベース(National Health Insurance Research Database)を使用。 対象77,611例から,低血糖症を伴う入院患者(重症低血糖)500例,および低血糖症を伴う外来患者(軽症低血糖症)1,344例を抽出。さらに,上記500例,1,344例に対して,それぞれ年齢,性別,糖尿病罹病期間をマッチさせた低血糖を起こしたことのない患者2,000例,5,376例を,ランダムに抽出。 多変量調整Cox回帰モデルを用いて,低血糖症と全死亡,心血管イベント(脳卒中,冠動脈性心疾患,心血管疾患,全入院)との関連を比較検討。 |
●結果 | 軽症/重症の低血糖症を伴う患者では,低血糖を起こしたことのない対照患者に比べ,高血圧(ハザード比1.75,95%CI 1.57-1.96),心房細動(1.96,1.24-3.11),肝硬変(1.71,1.17-2.48),腎疾患(3.26,2.76-3.86),精神障害(1.50,1.30-1.73),癌(2.73,2.12-3.50),脳卒中(2.84,2.31-3.48),および心血管疾患(2.04,1.65-2.51)などの罹患率が有意に高かった(いずれもP<0.0001)。 低血糖を起こしたことのある糖尿病患者では,低血糖を起こしたことのない患者に比べ,治療中の心血管イベント発生リスクが有意に高く,脳卒中(2.55,2.24-2.90),冠動脈性心疾患イベント(2.35,2.06-2.68),心血管疾患(3.19,2.94-3.47),全死亡(3.49,3.01-4.05)のリスクは2倍以上となった。 傾向スコア(propensity score)でマッチング後も,軽症/重症低血糖の患者では,依然として心血管イベント発生リスク(2.09,1.63-2.67),入院リスク(2.51,2.00-3.16),全死亡リスク(2.48,1.41-4.38)が高かった。 |
●結論 | 低血糖は,臨床的に軽症または重症でも,心血管イベントリスク,入院リスク,全死亡リスクの上昇と関連した。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。