編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Pan A, Lucas M, Sun Q, van Dam RM, Franco OH, Willett WC, Manson JE, Rexrode KM, Ascherio A, Hu FB: Increased mortality risk in women with depression and diabetes mellitus. Arch Gen Psychiatry. 2011; 68: 42-50. [PubMed]

糖尿病患者がうつを併発した際,全死亡リスクやCVD死リスクが顕著に高まる。それには,糖尿病治療へ取り組む熱意の低下,食事・運動療法,服薬などへの関心の低下が関与していると考えられる。【河盛隆造

●目的 中高年の女性において,うつ病,糖尿病および両者の併発の,全死亡および心血管疾患(CVD)死リスクへの影響を検討した。
●デザイン プロスペクティブ,コホート。
●試験期間 追跡期間は6年(433,066人・年)。
●対象患者 78,282例:54~79歳の女性。
●方法 自己診断のうつ病,抗うつ薬治療,5項目の精神疾患指数スコア≦52により,うつ病を評価。自己報告の2型糖尿病を,質問票により確定。
糖尿病もうつ病も認めない女性(62,289例),うつ病のみを認める女性(11,120例),糖尿病のみを認める女性(3,873例),糖尿病とうつ病を認める女性(1,000例)で,全死亡リスクとCVD死リスクを比較。
●結果 追跡期間の死亡は4,654例(うち,CVD死は979例)。
糖尿病もうつ病も認めない女性に対する,全死亡の年齢調整相対リスク(RR)は,うつ病のみを認める女性1.76(95%CI 1.64-1.89),糖尿病のみを認める女性1.71(95%CI 1.54-1.89),糖尿病とうつ病を認める女性3.11(95%CI 2.70-3.58)であった。
同様にCVD死の年齢調整RRは,うつ病のみを認める女性1.81(95%CI 1.54-2.13),糖尿病のみを認める女性2.67(95%CI 2.20-3.23),糖尿病とうつ病を認める女性5.38(95%CI 4.19-6.91)であった。
これらのリスク上昇は, BMI,喫煙状況,アルコール摂取量,身体活動量,主要な併発疾患(高血圧,高コレステロール血症,心疾患,脳卒中,癌)を調整後は減弱したが,糖尿病とうつ病を認める女性のリスク上昇は有意差を維持した(全死亡のRRは2.07,CVD死のRRは2.72)。
さらに,糖尿病の罹病期間>10年でうつ病を認める女性,インスリン療法を行っている糖尿病とうつ病を有する女性では,多変量調整後のCVD死リスクが著明に上昇した(RRはそれぞれ3.22,4.90)。
●結論 中高年の女性において,うつ病と糖尿病の併発により全死亡およびCVD死リスクが有意に上昇した。