編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Parving HH, Brenner BM, McMurray JJ, de Zeeuw D, Haffner SM, Solomon SD, Chaturvedi N, Persson F, Desai AS, Nicolaides M, Richard A, Xiang Z, Brunel P, Pfeffer MA; ALTITUDE Investigators: Cardiorenal end points in a trial of aliskiren for type 2 diabetes. N Engl J Med. 2012; 367: 2204-13. [PubMed]

ALTITUDE試験では,残念ながら,ACE阻害薬あるいはARBとアリスキレンの併用がベネフィットをもたらすことは証明できず,2011年末に本試験は中断された。この結果を受けて,ヨーロッパ・米国では糖尿病患者における本薬とACE阻害薬またはARBとの併用は禁忌とされた。わが国でも,糖尿病患者での本薬の併用は禁忌とされたが,ACE阻害薬またはARB投与を含む他の降圧治療を行ってもなお血圧のコントロールが著しく不良の患者では,医師の裁量で本薬の併用の余地が残された。なお,中等度以上の腎機能障害患者(GFR<60 mL/min)に対する本薬の併用はヨーロッパでは禁忌とされ,米国と日本では併用を避けることとされているが,引き続き,本態性高血圧症患者での降圧薬として用いることは可能である。また,わが国では,糖尿病患者でも治療抵抗性高血圧の治療薬としてACE阻害薬またはARBとの併用の余地が残されており,日本での臨床研究が求められているといえる。【片山茂裕

●目的 ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬(ARB)による標準治療を受けている心血管イベントおよび腎イベントリスクの高い2型糖尿病患者において,直接的レニン阻害薬aliskiren追加の有効性と安全性を検討した。
一次エンドポイントは,心血管死,蘇生により回復した心停止,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中,心不全による予定外の入院,末期腎疾患,腎不全による死亡,腎代替療法の必要性,血清クレアチニンのベースラインからの2倍以上かつ正常上限を超えた上昇。
二次心血管エンドポイントは,一次エンドポイントの心血管コンポーネントの複合。
二次腎エンドポイントは,一次エンドポイントの腎コンポーネントの複合。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設(36ヵ国,853施設)。
●試験期間 追跡期間は32.9ヵ月(中央値)。
●対象患者 8561例:≧35歳でマクロアルブミン尿,微量アルブミン尿かつ中等度腎機能低下,心血管疾患の既往かつ中等度腎機能低下のいずれかを認める2型糖尿病患者。
●方法 aliskiren(300mg/日)群(4274例),プラセボ群(4287例)に無作為割り付け。
ACE阻害薬またはARBを用いた標準治療に追加投与。
有効性についての2回目の中間解析後,試験は早期中止(2011年12月14日)。
●結果 一次エンドポイントの発生は,aliskiren群783例(18.3%),プラセボ群732例(17.1%)で,aliskiren群のハザード比は1.08(95%CI 0.98-1.20,p=0.12)。心血管エンドポイント(ハザード比1.11,p=0.09),腎エンドポイント(ハザード比1.03,p=0.74)も同様であった。
aliskiren群はプラセボ群に比し,追跡期間のSBPが1.3mmHg,DBPが0.6mmHg低く,尿中アルブミン-クレアチニン比の低下が14%大きかった(95%CI 11-17)。
有害事象による投与中止は,aliskiren群563例(13.2%),プラセボ群437例(10.2%)で有意差を認めた(p<0.001)。血清カリウム値が≧6mmol/Lの高カリウム血症(39.1% vs 29.0%,p<0.001),低血圧(12.1% vs 8.3%,p<0.001)の割合はaliskiren群で有意に高かった。
●結論 心血管イベントおよび腎イベントリスクの高い2型糖尿病患者において,レニン-アンジオテンシン系阻害薬へのaliskiren追加による有効性は認めず,有害事象は増加した。