編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Bosch J, Gerstein HC, Dagenais GR, Díaz R, Dyal L, Jung H, Maggiono AP, Probstfield J, Ramachandran A, Riddle MC, et al.; ORIGIN Trial Investigators: n-3 fatty acids and cardiovascular outcomes in patients with dysglycemia. N Engl J Med. 2012; 367: 309-18. [PubMed]

空腹時血糖異常,耐糖能異常,2型糖尿病患者を対象に,n-3脂肪酸投与が心血管イベント発症を予防するかを検討した。脂質異常症患者にスタチンを投与し,さらにEPAを上乗せしたわが国のJELIS研究とは異なり,本研究ではn-3脂肪酸投与による心血管イベント予防効果は認められなかった。
JELIS研究と比べて,本研究ではn-3脂肪酸としてEPA+DHAを用いており,投与量が約半量であるといった違いがあげられる。したがって,n-3脂肪酸投与による心血管イベント予防効果には,投与する脂肪酸組成や投与量が関与すると思われる。【綿田裕孝

●目的 2型糖尿病,空腹時血糖異常,耐糖能異常で心血管イベント高リスクの患者において,n-3脂肪酸長期補充による心血管イベント抑制効果を検討した。
一次エンドポイントは心血管死。二次エンドポイントは心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合,全死亡,不整脈死。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(40ヵ国,573施設),プラセボ対照,2×2 factorial,intention-to-treat解析。
●試験期間 割付け期間は2003年9月~2005年12月。追跡期間は中央値6.2年。
●対象患者 12,536例:糖尿病(経口血糖降下薬を1種類のみ使用),空腹時血糖異常(110~126mg/dL),耐糖能異常(75gOGTT 2時間値≧140mg/dL,<200mg/dL)で,心血管イベント高リスクの患者。女性35%,平均64歳。
登録基準:50歳以上,心筋梗塞・脳卒中・血行再建術の既往,狭心症,尿中アルブミン-クレアチニン比>30mg/g,左室肥大,血管造影法での冠動脈・頸動脈・下肢動脈の狭窄≧50%,足関節上腕血圧比<0.9。
●方法 10日間のrun-in期間後,n-3脂肪酸群(6,281例:n-3脂肪酸1g[エイコサペンタエン酸465mg+ドコサヘキサエン酸375mg含有])またはプラセボ群(6,255例:オリーブオイル1g含有)に無作為割付け。
●結果 一次エンドポイントの心血管死は,n-3脂肪酸群で574例(9.1%),プラセボ群で581例(9.3%)と,有意な群間差を認めなかった(調整ハザード比[HR] 0.98,95%信頼区間[CI] 0.87-1.10,P=0.72)。
二次エンドポイントである心血管死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中の複合(16.5% vs 16.3%,HR 1.10,95%CI 0.93-1.10,P=0.81),全死亡(15.1% vs. 15.4%,HR 0.98,95%CI 0.89-1.07,P=0.63),不整脈死(4.6% vs. 4.1%,HR 1.10,95%CI 0.93-1.30,P=0.26)のいずれにおいても,有意な群間差を認めなかった。
トリグリセリド値はn-3飽和酸群でプラセボ群に比して-14.5mg/dL低下したが(-23.5mg/dL vs. -9.0mg/dL,P<0.001),その他の脂質値および血糖値などについては有意な群間差を認めなかった。
●結論 心血管イベント高リスクで2型糖尿病,空腹時血糖異常,耐糖能異常の患者において,n-3飽和酸1g/日の長期補充は心血管イベントの発生を抑制しなかった。