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Tseng CH: Diabetes and risk of prostate cancer: a study using the National Health Insurance. Diabetes Care. 2011; 34: 616-21. [PubMed]
がんと糖尿病の因果関係に関する注目が高まっている。
グローバルのメタ解析では,前立腺がんと糖尿病の関連性は否定されている。今回の解析では,特に40~64歳の男性では留意すべき,としている。【河盛隆造】
●目的 | 台湾人の男性において,糖尿病と前立腺癌の相関を検討した。 |
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●デザイン | コホート。 |
●試験期間 | 追跡期間は2003~2005年。 |
●対象患者 | 494630例:2005年の台湾の国民健康保険(NHI)に加入している男性。≧40歳は204741例。 除外基準:女性,1型糖尿病,2003年以前の前立腺癌。 |
●方法 | 1995~2006年の年齢標準化前立腺癌発生率の推移を評価。糖尿病男性と非糖尿病男性に分けて,累積発生率およびリスク比を算出。ロジスティック回帰により,リスク因子の調整オッズ比を評価。 |
●結果 | 前立腺癌発生率は経時的に有意に上昇した(p<0.0001)。糖尿病男性,非糖尿病男性ともに,累積発生率は年齢とともに著明に上昇した。非糖尿病男性に対する糖尿病男性の前立腺癌のリスク比は,全年齢は5.83(95%CI 5.10-6.66),40~64歳は2.09(95%CI 1.60-2.74),65~74歳は1.35(95%CI 1.07-1.71),≧75歳は1.39(95%CI 1.12-1.71)であった。全年齢男性および≧40歳の男性ともに,年齢,糖尿病,腎症,虚血性心疾患,脂質異常症,居住地域,職業は前立腺癌リスクの上昇と有意に関連したが,インスリンや経口抗糖尿病薬を含む薬剤はリスク上昇と関連しなかった。 |
●結論 | 台湾人の男性において,前立腺癌発生率は経時的に上昇した。糖尿病と前立腺癌には正相関を認め,これはとくに40~64歳の若年層で著明であった。前立腺癌は,糖尿病患者で頻度の高い併発疾患との相関を認めたことから,前立腺癌と糖尿病の相関においては,より複雑な背景があることが示唆された。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。