編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Haller H, Ito S, Izzo JL Jr, Januszewicz A, Katayama S, Menne J, Mimran A, Rabelink TJ, Ritz E, Ruilope LM, Rump LC, Viberti G, ROADMAP Trial Investigators.; ROADMAP Trial Investigators: Olmesartan for the delay or prevention of microalbuminuria in type 2 diabetes. N Engl J Med. 2011; 364: 907-17. [PubMed]

正常アルブミン尿の2型糖尿病患者において,微量アルブミン尿への腎症の進展をARBオルメサルタンが遅延させたという成績は,これまでのACE阻害薬での結果(BENEDICT)と併せて,腎症予防におけるレニン-アンジオテンシン系阻害の有用性をあらためて確認させた。
問題は二次エンドポイントの心血管イベントで,オルメサルタン群で致死的心血管イベントが増加していた点である。この増加は二次予防群例で認められ,またより血圧が降下した例でみられたことから,二次予防におけるJカーブの問題が関与していた可能性が考えられる。【西尾善彦

●目的 正常アルブミン尿の2型糖尿病患者において,ARBの使用によって微量アルブミン尿の発症が抑制または遅延されるかを検討した。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,パラレル,多施設(欧州19ヶ国,262施設),ITT解析。
●試験期間 追跡期間は3.2年(中央値)。
●対象患者 4447例:正常アルブミン尿の白人2型糖尿病患者。平均57.7±8.7歳。
登録基準:18~75歳,少なくとも一つの心血管疾患リスク因子を有する。
除外基準:6ヵ月以内のACE阻害薬またはARBの使用。
●方法 オルメサルタン40mg/日投与群とプラセボ投与群に無作為割付け。
必要に応じて降圧薬(ACE阻害薬とARB以外)を追加使用した(目標血圧<130/80mmHg)。主要アウトカムは微量アルブミン尿発症までの期間,副次アウトカムは腎または心血管イベント発症までの期間。
●結果 オルメサルタン群の約80%,プラセボ群の約71%の患者で目標血圧を達成した。
オルメサルタン群では,プラセボ群よりも医療機関で測定した血圧が3.1/1.9mmHg低下した。
オルメサルタン群で8.2%,プラセボ群で9.8%の患者が微量アルブミン尿を発症。主要アウトカムの,微量アルブミン尿発症までの期間は,オルメサルタン群で23%延長した(ハザード比[HR]0.77,95%CI 0.63-0.94,P=0.01)。両群とも1%の患者で血清クレアチニン値が倍増した。
オルメサルタン群ではプラセボ群と比較して,非致死的心血管イベントを発症した患者は少なかったが(3.6% vs 4.1%,P=0.37),致死的心血管イベントを発症した患者は多く(0.7% vs 0.1%,P=0.01),冠動脈疾患を有する患者での心血管疾患死亡率も有意に高かった(2.0% vs 0..2%,P=0.02)。
●結論 2型糖尿病患者において,オルメサルタン群とプラセボ群の血圧コントロールに差はなかったが,オルメサルタンの投与は微量アルブミン尿の発症を遅延させた。一方,オルメサルタン群において,冠動脈疾患を有する患者で致死的心血管イベント発生率が高かったことが懸念される。