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Foley JE, Bunck MC, Möller-Goede DL, Poelma M, Nijpels G, Eekhoff EM, Schweizer A, Heine RJ, Diamant M: Beta cell function following 1 year vildagliptin or placebo treatment and after 12 week washout in drug-naive patients with type 2 diabetes and mild hyperglycaemia: a randomised controlled trial. Diabetologia. 2011; 54: 1985-91. [PubMed]
若年齢のげっ歯類を用いた実験では,DPP-4阻害薬には膵β細胞保護作用があることが示されているが,ヒトにおいても同様の作用があるか否かは明らかでない。
本研究では,ヒトにおけるDPP-4阻害薬の膵β細胞保護作用を検討したものであるが,1年間の投与では,明らかな膵β細胞保護作用は確認できなかった。ただ,ヒトの膵β細胞の増殖能を考えると,さらに長期の検討が必要と考えられ,この研究はDPP-4阻害薬のヒト膵β細胞保護作用を否定するものではないといえる。【綿田裕孝】
●目的 | drug-naiveの2型糖尿病患者において,DPP-4阻害薬vildagliptinによる治療期間終了後および,washout期間後のインスリン分泌能を検討した。 |
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●デザイン | 単一施設,二重盲検,無作為,パラレル,intention-to-treat解析。 |
●試験期間 | 治療期間は52週,washout期間は12週。 |
●対象患者 | 59例:軽度高血糖の2型糖尿病患者。 登録基準:≧30歳,HbA1c≦7.5%,BMI 22-45kg/m²。 除外基準:試験前の少なくとも12週間,もしくは過去に連続した3ヵ月以上の経口血糖降下薬による治療。 |
●方法 | vildagliptin群(100mg/日,29例)とプラセボ群(30例)に無作為割付け。ランダム化にはvalidated 1:1システムを使用した。患者にも医師にも割付けた治療について伝えなかった。 軽度の高血糖患者集団は,交絡変数としての糖毒性を最小にするように選択。β細胞の機能は0週,52週,washout期間の12週後の高血糖クランプ時のアルギニン負荷時のCペプチド反応で評価した。 |
●結果 | vildagliptin群では,アルギニン負荷時のCペプチド反応(AIRarg)が5.0±1.8 nmol/L×min上昇し,プラセボ群では0.8±1.8 nmol/L×min低下した(群間差 P=0.030)。12週のwashout期間後では,AIRargの変化量に有意な群間差はなかった。ベースラインから52週後の平均変化の群間差は,HbA1cでは-0.19±0.11%(P=0.098),空腹時血糖では-0.22±0.23mmol/L(P=0.343)であった。薬物療法に関連すると疑われる重大な有害事象はなかった。 |
●結論 | 1年間のvildagliptin投与により,β細胞の分泌能は有意に上昇した。この効果はwashout期間後には維持されず,β細胞容積や機能への疾患修飾効果によるものではないことが示された。 |
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