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Bangalore S, Kumar S, Lobach I, Messerli FH: Blood pressure targets in subjects with type 2 diabetes mellitus/impaired fasting glucose: observations from traditional and bayesian random-effects meta-analyses of randomized trials. Circulation. 2011; 123: 2799-810, 9 p following 810. [PubMed]
UKPDSやHOTの結果から,2型糖尿病の血圧管理では130/80mmHgを目標に,“the lower,the bette”と考えられてきた。しかし,最近のACCORDの結果は,かならずしもこの考え方を支持する結果ではなかった。
本検討は,これまでの研究結果のメタアナリシスによって,降圧によるメリットが心筋梗塞,細小血管合併症と脳卒中で異なることを示した点が興味深い。収縮期血圧を130~135mmHgから120mmHgまで低下させると脳卒中リスクの抑制につながるが,心筋梗塞のリスクは低下しない。われわれは個々の患者のリスクに応じた降圧目標を設定すべきと考えられる。【西尾善彦】
●目的 | 2型糖尿病または空腹時血糖・耐糖能障害を有する患者における至適血圧を検討した。 |
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●デザイン | メタアナリシス。 |
●試験期間 | 平均追跡期間4.8±1.3年。 |
●対象患者 | |
●方法 | 1965年から2010年10月までの無作為化臨床試験をPUBMED,EMBASE,CENTRALで検索し,13試験を選択。試験の採用基準は,2型糖尿病または空腹時血糖/耐糖能に障害を有する患者に降圧治療を実施,登録者数100例以上,SBPが強化血圧コントロール群で≦135mmHg,標準血圧コントロール群で≦140mmHgをそれぞれ達成,追跡期間1年以上,大血管または細小血管イベントを評価。 |
●結果 | 標準血圧コントロール群と比較して,強化血圧コントロール群では全死亡率が10%低下し(オッズ比[OR]0.90,95%CI 0.83-0.98),脳卒中は17%減少(OR 0.83,95%CI 0.73-0.95),重大な有害事象は20%増加(OR 1.20,95%CI 1.08-1.32)したが,大血管および細小血管(心臓,腎臓,網膜)イベントは同等のアウトカムであった。ベイズ理論のランダム効果モデルを使用した感度解析でも結果は同じだった。より強化した血圧コントロール(≦130mmHg)は脳卒中の減少と関連があったが,その他のイベントは減少しなかった。メタ回帰分析では,SBP<120mmHgで脳卒中の持続したリスク低下が認められた。しかし,<130mmHgでは,その他のアウトカムにベネフィットはなく,重大な有害事象が40%増加した(OR 1.40,95%CI 1.19-1.64)。 |
●結論 | 現在のエビデンスからは,2型糖尿病または空腹時血糖/耐糖能障害を有する患者においてはSBPの目標値130~135mmHgは妥当であると示唆される。しかし,より積極的な目標値(<130mmHg)では,脳卒中のリスク低下が持続したが,その他の大血管または細小血管(心臓,腎臓,網膜)イベントのリスクについてはベネフィットがないという標的器官の不均一性が認められ,重大な有害事象のリスクは増加した。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。