編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
2020年9月現在,1240報収載!
全トライアルリスト
[HOMEに戻る]
Holman RR, Haffner SM, McMurray JJ, Bethel MA, Holzhauer B, Hua TA, Belenkov Y, Boolell M, Buse JB, Buckley BM, et al.; NAVIGATOR Study Group: Effect of nateglinide on the incidence of diabetes and cardiovascular events. N Engl J Med. 2010; 362: 1463-76. [PubMed]

本研究は,本邦で2型糖尿病の治療に広く用いられているnateglinideを検討しており,注目を集めた。
しかし,結果の解釈には注意を要する。1)nateglinide投与量は,平均体重84kgに対し,毎食前60mgにすぎなかった。2)年1回のOGTT検査時には,nateglinideは投与されていなかった。3)登録時のHbA1c値は,両群とも5.8%であったが,糖尿病発症と判断された時点でのHbA1c値は,nageglinide群は6.1%(JDS値 5.7%),プラセボ群は6.3%(JDS値 5.9%)であった。すなわち,nateglinide群は,プラセボ群に比し毎食後の血糖応答はより低値であった,と推測しうる。【河盛隆造

●目的 耐糖能障害(IGT)患者において,インスリン分泌促進薬nateglinideの糖尿病発症および心血管(CV)イベント抑制効果を検討した。
一次アウトカムは糖尿病発症,心血管アウトカム(心血管疾患死+非致死性心筋梗塞+非致死性脳卒中+心不全による入院+動脈血行再建術+不安定狭心症による入院)。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(40ヵ国,806施設),2×2 factorial(valsartan,プラセボ)。
●試験期間 登録期間は2002年1月4日~2004年1月29日。追跡期間の中央値は5.0年(糖尿病発症の解析)または6.5年(生存状況の解析)。
●対象患者 9306例:CVリスク因子を1つ以上有する(≧55歳)か心血管疾患を有する(≧50歳)IGT患者(空腹時血漿ブドウ糖値≧95かつ<126mg/dL,75g OGTT 2時間値≧140かつ<200mg/dL)。
除外基準:試験薬の安全性および有効性に影響を及ぼす症状および疾患,5年以内の抗糖尿病薬の使用。
●方法 nateglinide(~180mg/日)群(4645例),プラセボ群(4661例)にランダム化。
全例に生活習慣改善を指導。
●結果 糖尿病発症率は,nateglinide群36.0%,プラセボ群33.9%であった(ハザード比[HR]1.07,95%CI 1.00-1.15,p=0.05)。
CVアウトカムは同等で(14.2 vs 15.2%,HR 0.93,95%CI 0.83-1.03,p=0.16),CVアウトカムから血行再建術および不安定狭心症を除いても同等であった(7.9 vs 8.3%,HR 0.94,95%CI 0.82-1.09,p=0.43)。
低血糖の発生率はnateglinide群で有意に高かった(19.6 vs 11.3%,p<0.001)。
●結論 CVイベントリスクの高いIGT患者において,5年間のnateglinide治療による糖尿病発症およびCVイベント抑制効果は認められなかった。