編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Soedamah-Muthu SS, Chaturvedi N, Witte DR, Stevens LK, Porta M, Fuller JH; EURODIAB Prospective Complications Study Group: Relationship between risk factors and mortality in type 1 diabetic patients in Europe: the EURODIAB Prospective Complications Study (PCS). Diabetes Care. 2008; 31: 1360-6. [PubMed]

EURODIAB Prospective Complications Studyは,15~60歳の1型糖尿病患者を対象としたEURODIAB登録患者のうち,全死亡に関するデータが得られた2787例のサブ解析である。全死亡は1000人・年あたり5人であり,英国の糖尿病のない同年代の0.2~0.5人・年に比べるといかに高い数値かが明らかである。英国の他の成績とも一致する結果であるが,治療の進歩により古い成績よりは死亡率が低下してきているといえる。
全死亡および非CVD死の重要なリスク因子は,年齢,ウェスト-ヒップ比,脈拍数,non-HDL-Cなどであり,蛋白尿や自律神経障害はそれらよりさらに強力な死亡のリスク因子であった。Epidemiology of Diabetes Complications (EDC)などの結果ともほぼ一致するといえるが,ウェスト-ヒップ比,脂質,脈圧などはEDCでは検討されていない。今回の成績はこれら新しいリスク因子との関連を明らかにするとともに,蛋白尿が全死亡の強力な予測因子になうることを再確認したといえる。自律神経障害は,EDCでは糖尿病罹病歴,冠動脈心疾患の既往,高血圧,腎症で補正すると有意ではなかったが,今回の検討では他の因子で補正しても有意な死亡のリスク因子であった。これらの結果より,1型糖尿病患者の若年時からの死亡を低減するためには,できるだけ早期からの細小血管障害の治療の重要性が明らかである。【片山茂裕

●目的 1型糖尿病患者において,全死亡のリスク因子を検討した。
●デザイン コホート,多施設(欧州16ヵ国)。
●試験期間 追跡期間は7年。
●対象患者 2787例:EURODIAB登録患者(1型糖尿病患者3250例)のうち,追跡時に全死亡に関するデータの得られた例。男性51%,女性49%。平均33歳。
●方法 質問票,診療記録,死亡証明書により,すべてのイベントについてのデータを収集し,全死亡のリスク因子を検討。
●結果 対象患者のうち,追跡期間に102例が死亡し,年間死亡率は4.7件/1000人・年であった。
多変量モデルによる解析では,全死亡の有意なリスク因子は,ベースラインの年齢(標準ハザード比[HR]1.78,95%CI 1.44-2.20),ウェスト-ヒップ比(HR 1.32,95%CI 1.14-1.52),脈拍(HR 1.33,95%CI 1.13-1.58),non-HDL-C(HR 1.33,95%CI 1.12-1.60)であり,蛋白尿(HR2.39,95%CI 1.19-4.78),末梢神経障害(HR 1.88,95%CI 1.06-3.35),自律神経障害(HR 2.40,95%CI 1.32-4.36)は,もっとも強力な全死亡のリスク因子であった。
これらのリスク因子は,非心血管疾患(CVD)死,CVD死,原因不明の死亡のリスク因子でもあった。
●結論 1型糖尿病患者において,全死亡および非CVD死の重要なリスク因子は,年齢,ウェスト-ヒップ比,脈拍,non-HDL-Cであった。蛋白尿や末梢および自律神経障害などの細小血管障害は,さらに強力な死亡のリスク因子であった。