編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mann JF, Schmieder RE, Dyal L, McQueen MJ, Schumacher H, Pogue J, Wang X, Probstfield JL, Avezum A, Cardona-Munoz E, et al.; TRANSCEND (Telmisartan Randomised Assessment Study in ACE Intolerant Subjects with Cardiovascular Disease) Investigators: Effect of telmisartan on renal outcomes: a randomized trial. Ann Intern Med. 2009; 151: 1-10, W1-2. [PubMed]

本研究では,ARBがプラセボに比較して腎アウトカムへの効果が見られないという意外な結果がみられた。この原因は明らかではないが,糖尿病症例は全体の4割弱であること,顕性蛋白尿は除かれていることなどが,糖尿病性腎症に対してARBの効果が認められた従来の試験との相違として挙げられる。また,末期腎不全を推測するためのsurrogate markerとしての血清クレアチニンの2倍増加,アルブミン尿の意義についても慎重に考える必要があろう。【景山 茂

●目的 高リスクの糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬telmisartanの長期的な腎アウトカムへの効果を検討した。
エンドポイントは透析または血清クレアチニン値の二倍上昇,推定糸球体濾過量(GFR)の変化,アルブミン尿の変化。
●デザイン 無作為,多施設(40ヵ国,630施設)。
●試験期間 登録期間は2001年11月~2004年5月。2008年8月追跡終了。追跡期間は56ヵ月(中央値)。
●対象患者 5926例:冠動脈疾患,末梢血管疾患,脳血管疾患,または終末器官障害を合併しているが顕性アルブミン尿や心不全のない糖尿病を有し,ACE阻害薬に対して忍容性のない患者。≧55歳。
除外基準:ARB治療の必要,既知のARB過敏症または不耐症,心不全,著明な弁膜疾患または心血流閉塞,収縮性心内膜炎,複合先天性心疾患,原因不明の失神,心臓手術の予定,3ヵ月以内の心血行再建術,SBP≧160mmHg,心臓移植,くも膜下出血,著明な腎動脈狭窄,クレアチニン値>3.0mg/dL,肝機能障害,蛋白尿。
●方法 run-in期間(プラセボ投与1週+telmisartan 80mg/日投与2~3週)後,telmisartan(80mg/日)群(2954例),プラセボ群(2972例)にランダム化。
●結果 透析または血清クレアチニン値の二倍上昇は,telmisartan群58例(1.96%),プラセボ群46例(1.55%)であった(ハザード比[HR]1.29,95%CI 0.87-1.89,p=0.20)。その内訳は,透析は同等であったが(7例[0.24%] vs 10例[0.34%],HR 0.71,p=0.49),血清クレアチニン値の二倍上昇はtelmisartan群で有意に多かった(56例[1.90%] vs 36例[1.21%],HR 1.59,p=0.031)。
アルブミン尿の発生はtelmisartan群で有意に少なく(32%[95%CI 23-41] vs 63%[95%CI 52-76],p<0.001),推算GFRの低下度はtelmisartan群で有意に大きかった(-3.20ml/分/1.73m² vs -0.26ml/分/1.73m²,p<0.001)。
●結論 アルブミン尿を有さない心血管疾患または高リスクの糖尿病患者で,ACE阻害薬に対して忍容性のない例において,telmisartanの腎アウトカムへの効果はプラセボと同等であった。