編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Telmisartan Randomised AssessmeNt Study in ACE iNtolerant subjects with cardiovascular Disease (TRANSCEND) Investigators, , Teo K, Anderson C, Pogue J, Dyal L, Copland I, Schumacher H, Dagenais G, Sleight P: Effects of the angiotensin-receptor blocker telmisartan on cardiovascular events in high-risk patients intolerant to angiotensin-converting enzyme inhibitors: a randomised controlled trial. Lancet 2008; 372: 1174-1183. [PubMed]

本研究の一次アウトカムには有意な差が認められなかったが,HOPE研究やADVANCE研究の一次アウトカムには有意な差が認められ,複合エンドポイントの構成要素によって結果が異なるという複合エンドポイントの課題が示された。心不全や細小血管障害-+を複合エンドポイントに含めるか否かにより結果が異なり,結局のところ各構成要素について検討せざるを得ない。
本研究では心筋梗塞と脳卒中の発症頻度がほぼ等しく,従来欧米で行われた試験成績とは大きく異なる。心血管アウトカムに民族差のある場合には,本研究のように40ヵ国もの多地域に及ぶことが果たして適切であるか否か検討の余地はあろう。【景山 茂

●目的 心不全を有さない心血管疾患または高リスクの糖尿病患者のうち,ACE阻害薬に対して忍容性のない例において,通常治療にAII受容体拮抗薬(ARB)telmisartanを併用した場合の有効性を検討した。
一次複合アウトカムは,心血管死,心筋梗塞(MI),脳卒中,心不全による入院。二次複合アウトカムは,心血管死,MI,脳卒中。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設(40ヵ国,630施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2001年11月~2004年5月。追跡期間は56ヵ月(中央値)。
●対象患者 5926例:冠動脈疾患,末梢血管疾患,脳血管疾患,終末器官障害を合併した糖尿病を有し,ACE阻害薬に対して忍容性のない患者。平均66.9歳。女性43.0%。高血圧患者76.4%。糖尿病患者35.7%。
除外基準:ARB治療の必要またはARB投与中止が不可能,既知のARB過敏症または不耐症,心不全,著明な弁膜疾患または心血流閉塞,収縮性心内膜炎,複合先天性心疾患,原因不明の失神,3ヵ月以内の予定された心臓手術または心血行再建術,SBP>160mmHg,心臓移植,くも膜下出血,著明な腎動脈狭窄,クレアチニン値>265μmol/L,蛋白尿,肝機能障害。
●方法 run-in期間(3週間:プラセボ投与1週間,telmisartan 80mg投与2週間)後,telmisartan(80mg/日)群(2954例),プラセボ群(2972例)にランダム化。
●結果 平均血圧はtelmisartan群でプラセボ群に比し低く,試験期間の加重平均群間差は4.0/2.2mmHgであった。
一次複合アウトカムの発生はtelmisartan群でプラセボ群に比し少なかったが,有意な群間差は認められなかった(465例[15.7%] vs 504例[17.0%],ハザード比[HR]0.92,95%CI 0.81-1.05,p=0.216)。
HOPE研究のアウトカムと同様の二次複合アウトカムの発生はtelmisartan群で少なかった(384例[13.0%] vs 440例[14.8%],HR 0.87,95%CI 0.76-1.00,p=0.048[一次および二次複合アウトカムの87%が重複し,多重比較であることを調整後はp=0.068])。また,大血管障害と細小血管障害を合わせたADVANCE試験のアウトカムもtelmisartan群で少なかった(p=0.049)。
心血管疾患による入院はtelmisartan群で有意に少なかった(894例[30.3%] vs 980例[33.0%],相対リスク[RR]0.92,95%CI 0.85-0.99,p=0.025)。
試験薬の完全投与中止例はtelmisartan群で少なく(639例[21.6%] vs 705例[23.7%],RR 0.91,p=0.055),投与中止の理由でもっとも多かったのは低血圧症状であった(29例[0.98%] vs 16例[0.54%],RR 1.82,p=0.049)。
●結論 心不全を有さない心血管疾患または高リスクの糖尿病患者のうち,ACE阻害薬に対して忍容性のない例において,telmisartanの忍容性は良好であった。telmisartan投与により,心血管死,MI,脳卒中の発生は低下したが,心不全による入院を含めたアウトカムの発生はプラセボと同等であった。