編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Rowan JA, Hague WM, Gao W, Battin MR, Moore MP, MiG Trial Investigators: Metformin versus insulin for the treatment of gestational diabetes. N Engl J Med 2008; 358: 2003-2015. [PubMed]

妊娠糖尿病の治療には,もっぱらインスリンが用いられている。ビグアナイド系薬剤は胎盤を通過するが,インスリン抵抗性を改善し,体重増加や低血糖をきたさないなど,理論的には妊娠糖尿病の治療に適した薬剤といえる。いくつかの小規模な検討は妊娠糖尿病にビグアナイドを用いることにポジティブであるが,異論もいくつかあり,なによりも大規模なランダム化比較試験がなされていない。
今回のMiG試験では,751例がmetforminまたはインスリン治療に割り付けられた。metformin群の約半数にインスリンが併用されたが,両群で一次アウトカムや二次アウトカムに差はなかった。新生児の奇形の発症にも,両群で有意差はなかった。今後,妊娠糖尿病の治療にmetforminがもっと利用されることになるであろう。【片山茂裕

●目的 妊娠糖尿病患者において,metformin(ビグアナイド)の有効性および安全性を検討した。
一次複合アウトカムは新生児低血糖,呼吸窮迫症候群,光線療法の必要,出産時外傷,5分後のアプガースコア<7+早産(<37週)。二次アウトカムは新生児の体型,母体の血糖コントロール,母体の高血圧性合併症,出産後の耐糖能,治療満足度。
●デザイン 無作為,オープン,多施設(ニュージーランド,オーストラリア,10施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 登録期間は2002年10月~2006年11月。
●対象患者 751例:妊娠20~33週の妊娠糖尿病患者。
登録基準:18~45歳,ADIPS(Australasian Diabetes in Pregnancy Society)基準による妊娠糖尿病,単胎妊娠,インスリン治療の適応(施設の基準による),生活習慣介入(食事および運動に関する指導)の実施歴,空腹時血糖値>97.2mg/dLまたは2時間値>120.6mg/dL。
除外基準:妊娠前の糖尿病の診断,metformin投与禁忌,胎児奇形,妊娠高血圧,子癇前症,胎児発育制限,破水。
●方法 metformin群(373例),インスリン群(378例)に無作為割り付け。
metformin群では500mgまたは1000mg(分2)より開始し,目標血糖値に達するまで最大2500mgまで増量。なお目標血糖値に達しない場合はインスリンを併用。
●結果 解析可能症例はmetformin群363例,インスリン群370例であった。metformin群の92.6%は出産までmetforminの服用を継続し,46.3%はインスリンの併用を要した。
一次複合アウトカムの発生率は,metformin群32.0%,インスリン群32.2%で,両群間に有意差は認められなかった(相対リスク1.00,95%CI 0.90-1.10,p=0.95)。個々の一次アウトカムのうち,重度の新生児低血糖はmetformin群で有意に少なかったが(3.3% vs 8.1%,p=0.008),早産はmetformin群で有意に多かった(12.1% vs 7.6%,p=0.04)。
次の妊娠時にも同じ治療を選択すると回答した患者は,metformin群で有意に多かった(76.6 vs 27.2%,p<0.001)。
他の二次アウトカムについては,両群間に有意差はほとんど認められなかった。
重篤な有害事象に関して両群間に有意差は認められず,いずれもmetforminには関連しないと考えられた。
●結論 妊娠糖尿病患者において,metformin(単独またはインスリンとの併用)はインスリンに比較して周産期合併症を増加させないことが示された。また,それらの患者はインスリンよりもmetforminを好んでいた。