編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Makino H, Haneda M, Babazono T, Moriya T, Ito S, Iwamoto Y, Kawamori R, Takeuchi M, Katayama S, INNOVATION Study Group: Microalbuminuria reduction with telmisartan in normotensive and hypertensive Japanese patients with type 2 diabetes: a post-hoc analysis of The Incipient to Overt: Angiotensin II Blocker, Telmisartan, Investigation on Type 2 Diabetic Nephropathy (INNOVATION) study. Hypertens Res 2008; 31: 657-664. [PubMed]

糖尿病を伴った高血圧の降圧目標は130/80mmHg未満と多くのガイドラインで設定されている。しかし,これまで報告された臨床試験において130/80mmHg未満を達成したものはきわめて少ない。本研究では正常血圧群のみならず高血圧群においてもtelmisartan投与群では130/80mmHg未満となっており,現行の降圧目標の妥当性を示す一つの成績である。【景山 茂

●目的 正常血圧の日本人2型糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬telmisartanが微量アルブミン尿から顕性腎症への進行を抑制するか否かを検討。INNOVATIONのpost-hoc解析。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照,多施設。
●試験期間 追跡期間は 約1.3年(514例)。
●対象患者 514例:INNOVATIONの参加者(早期腎症が認められる30~74歳の日本人2型糖尿病患者527例)のうち,解析可能であった例。
INNOVATIONの登録基準:尿中アルブミン-クレアチニン比(UACR)100~300mg/gCr。血清クレアチニン値<1.5mg/dL(男性)または<1.3mg/dL(女性)。
除外基準:<30歳に診断された2型糖尿病。1型糖尿病。非糖尿病性腎疾患。HbA1c値≧9%。座位血圧≧180/100mmHg。過去6ヵ月以内の不安定狭心症,心筋梗塞,冠動脈バイパスグラフト術,経皮的冠動脈形成術。過去6ヵ月以内の一過性虚血発作または脳卒中。心不全の既往。妊娠またはその可能性。
●方法 INNOVATIONでは,telmisartan 40mg群,80mg群,プラセボ群に無作為割り付けし,52週投与。
両telmisartan群では20mg/日より開始し,2週後に40mg/日,4週後に80mg/日に増量。>130/85mmHgの場合は他の降圧薬を併用。
本解析では,正常血圧例163例(telmisartan 40mg群58例,80mg群51例,プラセボ群54例)と高血圧例351例(それぞれ114例,117例,120例)のデータを比較。
●結果 顕性腎症(UACR>300mg/gCr)への進行率は,正常血圧例および高血圧例ともに,両telmisartan群でプラセボ群に比し有意に低かった(正常血圧例:40mg群12.1%,80mg群9.8%,プラセボ群33.3%[いずれもp<0.01],高血圧例:それぞれ14.9%,11.1%,34.2%[いずれもp<0.01]。また,アルブミン尿の正常化率(UACR<30mg/gCr)も,両症例ともに,両telmisartan群で有意に高かった(正常血圧例:それぞれ15.5%,19.6%,1.9%[いずれもp<0.01],高血圧例:それぞれ12.3%[p<0.01],21.4%[p<0.05],0.8%)。
高血圧例では,UACRの変化とSBPおよびDBPの変化の間に正相関が認められたが(80mg群におけるUACRの変化とSBPの変化を除く),正常血圧例では,それらの間に正相関は認められなかった。
副作用については,両症例ともに群間差は認められなかった。
●結論 正常血圧の日本人2型糖尿病患者において,telmisartanは微量アルブミン尿から顕性腎症への進行を抑制し,一部の患者ではアルブミン尿が正常化した。またtelmisartanはそれらの患者において安全で,忍容性も良好であった。