編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Mann JF, Schmieder RE, McQueen M, Dyal L, Schumacher H, Pogue J, Wang X, Maggioni A, Budaj A, Chaithiraphan S, et al.: Renal outcomes with telmisartan, ramipril, or both, in people at high vascular risk (the ONTARGET study): a multicentre, randomised, double-blind, controlled trial. Lancet 2008; 372: 547-553. [PubMed]

ACE阻害薬ramipril とAII受容体拮抗薬telmisartanの併用は,ONTARGET研究の一次エンドポイントである大血管障害による心血管イベントに対してramipril単独治療を上回る有効性は認められなかった。しかし,レニン・アンジオテンシン系阻害薬の腎保護作用は確立しており,腎障害に対しては,ramipril とtelmisartanの併用は,ramipril単独治療を上回る有効性が期待されたが,これも認められなかった。しかし,併用群では尿中アルブミン排泄はramipril群よりも抑制されており,尿中アルブミン排泄とeGFRの低下抑制効果との間に乖離が認められた。従来,尿中アルブミン排泄の抑制は腎機能低下の抑制と一致するので,尿中アルブミン排泄は有用なsurrogate markerと考えられてきた。なぜ,尿中アルブミン排泄抑制と腎機能低下の抑制が乖離したかは,eGFRの値,糖尿病の有無などのサブグループ解析によっても明らかではなく,唯一,顕性アルブミン尿では併用群がよい傾向が認められた。ACE阻害薬とAII受容体拮抗薬の併用の妥当性は今後の試験結果を待たなければ結論を得ることは難しい。【景山 茂

●目的 動脈硬化性血管疾患患者または終末器官障害を有する糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬telmisartan,ACE阻害薬ramipril,およびそれら薬剤の併用の腎アウトカムに対する効果を検討した。ONTARGETのサブ解析。
本解析の一次アウトカムは透析,血清クレアチニン値の二倍上昇,死亡の複合エンドポイント。本解析の二次アウトカムは透析および血清クレアチニン値の二倍上昇,一次アウトカムの各要素,推定糸球体濾過率(eGFR),蛋白尿への進展。
●デザイン 無作為,二重盲検,intention-to-treat解析。
●試験期間 試験期間は2001~2007年。追跡期間は56ヵ月(中央値)。
●対象患者 25620例:≧55歳の動脈硬化性血管疾患患者または終末器官障害を有する糖尿病患者。
除外基準:腎動脈狭窄,是正されていない体液量またはナトリウム欠乏,血清クレアチニン値>265μmol/L,コントロール不良高血圧(SBP>160mmHgまたはDBP>100mmHg)。
●方法 ONTARGET試験では,単盲検のrun-in期間(3週)後,telmisartan(80mg/日)群8542例,ramipril(10mg/日)群8576例,併用群8502例にランダム割付け。
●結果 低血圧症状のために割付け治療を早期に中止したのは784例であった(ramipril群149例,telmisartan群229例,併用群406例)。
一次アウトカムの発生は,telmisartan群(1147例[13.4%])とramipril群(1150例[13.5%])では同等であったが(ハザード比[HR]1.00,95%CI 0.92-1.09,p=0.968),併用群(1233例[14.5%])ではramipril群に比し有意に上昇した(HR 1.09,95%CI 1.01-1.18,p=0.037)。
二次アウトカムの透析および血清クレアチニン値の二倍上昇の発生も,telmisartan群(189例[2.21%])とramipril群(174例[2.03%])では同等であったが(HR 1.09,95%CI 0.89-1.34,p=0.420),併用群(212例[2.49%])ではramipril群に比し有意に上昇した(HR 1.24,95%CI 1.01-1.51,p=0.038)。
eGFRのベースラインからの低下は,ramipril群(-2.82 mL/分/1.73m²)でtelmisartan群(-4.12 mL/分/1.73m²)および併用群(-6.11 mL/分/1.73m²)に比し有意に少なかった(いずれもp<0.0001)。尿中アルブミン排泄の上昇は,ramipril群に比し,telmisartan群(p=0.004)および併用群(p=0.001)で有意に少なかった。
●結論 血管疾患リスクの高い患者において,telmisartanの腎アウトカムに対する効果はramiprilと同等であった。それら薬剤の併用は,各薬剤の単独療法に比し,蛋白尿を低減したが,腎アウトカムは増大した。