編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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ONTARGET Investigators, Teo KK, Pogue J, Dyal L, Copland I, Schumacher H, Dagenais G, Sleight P, Anderson C: Telmisartan, ramipril, or both in patients at high risk for vascular events. N Engl J Med 2008; 358: 1547-1559. [PubMed]

これまで心不全に関するいくつかの試験においては,ACE阻害薬とAII受容体拮抗薬との併用には相加作用は認められず,むしろ併用群で副作用が多かった。本研究は心不全を対象とした試験ではないが,併用群では失神や低血圧が多く見られ,ACE阻害薬とAII受容体拮抗薬のfull doseの併用に伴う過度の降圧には慎重さが求められよう。今後,アルドステロンブレイクスルーとの関係に関する検討が待たれる。【景山 茂

●目的 心不全を有さない血管疾患患者,または高リスクの糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬telmisartanがACE阻害薬ramiprilよりも劣っていないかを検討し,また,それら薬剤の併用がramipril単独投与よりも優れているか否かを検討した。
一次アウトカムは心血管死,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院の複合エンドポイント。
●デザイン 無作為,二重盲検,多施設(40ヵ国,733施設),intention-to-treat解析。
●試験期間 追跡期間は56ヵ月(中央値)。
●対象患者 25620例:心不全を有さない冠動脈疾患患者,または高リスクの糖尿病患者。女性27%,心血管疾患患者85%,高血圧患者69%,糖尿病患者38%。
●方法 単盲検のrun-in期間(3週)後,ramipril群8576例,telmisartan群8542例,併用群8502例に無作為割付け。
ramiprilは5mg/日から開始し,2週後に10mg/日に増量。telmisartanは80mg/日を投与。
●結果 6週後の降圧度は,ramipril群6.4/4.3mmHg,telmisartan群7.4/5.0mmHg,併用群9.8/6.3mmHgで,試験期間の平均血圧レベルは,ramipril群に比し,telmisartan群および併用群でわずかに低かった。
一次アウトカムの発生は,ramipril群1412例(16.5%),telmisartan群1423例(16.7%),併用群1386例(16.3%)であった。telmisartan群vs ramipril群の相対リスク(RR)は1.01(95%CI 0.94-1.09)で,telmisartanのramiprilに対する非劣性が示された。また,併用群vs ramipril群のRRは0.99(95%CI 0.92-1.07)で,両剤併用のramipril単独投与を上回る有効性は認められなかった。
全死亡の発生は,ramipril群(1014例[11.8%])とtelmisartan群(989例[11.6%])では同等であったが(RR 0.98,95%CI 0.90-1.07),併用群(1065例[12.5%])ではramipril群に比し増加傾向にあった(RR 1.07,95%CI 0.98-1.16)。
腎機能障害は,ramipril群871例(10.2%),telmisartan群906例(10.6%),併用群1148例(13.5%)に認められ,ramipril群に比較して併用群において有意に増加していた(telmisartan群vs ramipril群:RR 1.04,95%CI 0.96-1.14,併用群vs ramipril群:RR 1.33,95%CI 1.22-1.44,p<0.001)。
投与中止例は,ramipril群2099例(24.5%),telmisartan群1962例(23.0%),併用群2495例(29.3%)で(併用群vs ramipril群:p<0.001),その主な理由は,低血圧症状(1.7%,2.7%,4.8%[telmisartan群vs ramipril群:p<0.001,併用群vs ramipril群:p<0.001]),失神(0.2%,0.2%,0.3%[併用群vs ramipril群:p=0.03]),咳(4.2%,1.1%,4.6%[telmisartan群vs ramipril群:p<0.001]),下痢(0.1%,0.2%,0.5%[併用群vs ramipril群:p<0.001]),血管性浮腫(0.3%,0.1%,0.2%[telmisartan群vs ramipril群:p=0.01),腎障害(0.7%,0.8%,1.1%[併用群vs ramipril群:p<0.001])であった。
●結論 心不全を有さない血管疾患または高リスク糖尿病の患者において,telmisartanの有効性はramiprilと同等であり,血管性浮腫はより少なかった。また両剤の併用投与のramipril単独投与を上回る有効性は認められず,有害事象が増加した。