編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Wright AD, Cull CA, Macleod KM, Holman RR, for the UKPDS Group: Hypoglycemia in Type 2 diabetic patients randomized to and maintained on monotherapy with diet, sulfonylurea, metformin, or insulin for 6 years from diagnosis: UKPDS73. J Diabetes Complications 2006; 20: 395-401. [PubMed]

インスリン療法による低血糖がさまざまなイベントに影響している可能性も指摘されているが,本論文はその心配をある程度払拭してくれるものであり,積極的な血糖コントロールを行ううえで重要なデータといえよう。【河盛隆造

●目的 2型糖尿病患者において,6年間の血糖降下療法における低血糖発生状況ならびに低血糖のリスク因子を検討した。
●デザイン 無作為,多施設。
●試験期間 登録期間は1977~1991年。追跡期間は6年。
●対象患者 5063例:UKPDSの参加者(25~65歳で空腹時血漿ブドウ糖[FPG]値>6.0mmol/Lの2型糖尿病患者5102例)のうち,白人,インド系アジア人,アフリカ系カリブ人。
●方法 UKPDSでは,食事療法による3ヵ月のrun-in期間後,FPG値6.0~15.0mmol/Lであった患者を,従来の血糖コントロール群(主として食事療法のみ;目標FPG値<15mmol/L),厳格な血糖コントロール群(主としてスルホニル尿素[SU]薬,metformin[過体重例のみ],インスリンを投与;目標FPG値<6mmol/L)に無作為割付け。
本解析では,患者の自己報告をもとに,過去3ヵ月におけるもっとも重度であった低血糖を,「グレード1:一過性で日常活動に影響を及ぼさない」「グレード2:一時的な活動不能をきたすが介助なく症状をコントロールできる」「グレード3:活動不能をきたし第三者の介助を要する」「グレード4:医学的治療またはグルカゴン注射を要する」に分類。低血糖の年間発生率を治療,HbA1c値,患者背景ごとに算出。
●結果 すべての低血糖発生率は11.0%,実質的な低血糖(グレード2~4)発生率は2.5%,重度低血糖(グレード3~4)発生率は0.55%であった。
実質的な低血糖発生率は,若年者(<45歳:4.0 vs 2.2%[≧45歳]),女性(3.0 vs 2.2%[男性]),正常体重例(BMI<25kg/m²:3.6 vs 1.9%[≧25kg/m²]),軽度高血糖例(HbA1c値<7%:5.2 vs 2.3%[≧7%]),膵島自己抗体陽性例(4.3 vs 2.1%[陰性例])で有意に多く認められた(いずれもp<0.0001)。
6年間治療を継続していた3538例における治療別の実質的な低血糖発生率は,食事療法のみ0.1%,metformin投与0.3%,SU薬投与1.2%,基礎インスリン投与3.8%,基礎インスリン+食前インスリン投与5.5%であった(いずれもp<0.0001)。
●結論 2型糖尿病患者において,血糖降下療法(SU薬,metformin,インスリンの単独投与)を開始後6年までの低血糖発生率は低く,ガイドラインにおける目標血糖値達成への取り組みに大きな影響は及ぼさないと思われた。