編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Fonseca V, Bakris GL, Bell DS, McGill JB, Raskin P, Messerli FH, Phillips RA, Katholi RE, Wright JT, Waterhouse B, et al.: Differential effect of beta-blocker therapy on insulin resistance as a function of insulin sensitizer use: results from GEMINI. Diabet Med 2007; 24: 759-763. [PubMed]

metoprololのような古典的なβ遮断薬がインスリン感受性を低下させることはよく知られている。今回のGEMINI試験の事後解析では,TZDやmetforminなどのインスリン抵抗性改善薬を併用していると,β遮断薬のインスリン感受性に及ぼす影響が相殺されることが初めて示された。糖尿病患者の高血圧の降圧治療に際しては,臨床的に重要な情報である。【片山茂裕

●目的 2型糖尿病および高血圧を有する患者において,β遮断薬carvedilolおよびmetoprololのインスリン抵抗性改善効果に対し,インスリン抵抗性改善薬(チアゾリジンジオン系薬剤[TZD]またはmetformin[ビグアナイド])の併用が影響を及ぼすかを検討した。GEMINIのレトロスペクティブ解析。
一次エンドポイントは5ヵ月後におけるHbA1c値の変化。二次エンドポイント(本解析の主要エンドポイント)はインスリン抵抗性(HOMA-IR)の変化など。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は目標血圧または目標用量を達成後5ヵ月間。
●対象患者 908例:GEMINIの参加者(2型糖尿病および高血圧を有し,ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬を投与されている患者1235例)のうち,インスリンを投与されておらず,HbA1c値およびHOMA-IRのデータが得られた例。
●方法 GEMINIでは,carvedilol(12.5~50mg/日)群,metoprolol(100~400mg/日)群に2:3の割合で無作為割付け。血糖降下薬のレジメンは試験期間を通じて変更しない。
本解析では,HbA1c値およびHOMA-IRの変化について,TZDまたはmetformin投与の有無別にcarvedilol群とmetoprolol群で比較(解析対象はそれぞれ371例,537例)。
●結果 HOMA-IRについては,TZDまたはmetformin投与例では,carvedilol群(-5.4%,95%CI -11.9 to 1.6,p=0.13)およびmetoprolol群(-2.8%,95%CI -8.5~3.2,p=0.35)ともに有意な変化は認めず,有意な群間差もみられなかった(群間差-2.6%,95%CI -10.7~6.2,p=0.55)。一方,TZDまたはmetformin非投与例では,metoprolol群で13.2%増大したのに対し(95%CI 3.2 to 24.1,p<0.01),carvedilol群では4.8%低下し(95%CI -14.6 to 6.0,p=0.37),carvedilol群で有意に良好であった(群間差-15.9%,95%CI -26.6 to -3.6,p=0.01)。
HbA1c値については,TZDまたはmetformin投与の有無による相違はみられなかった。両群間の比較では,5ヵ月後におけるHbA1c値は,インスリン抵抗性改善薬の使用を補正後も,carvedilol群で有意に良好であった(群間差-0.11%,95%CI -0.214 to -0.009,p=0.03)。
●結論 2型糖尿病および高血圧を有する患者において,インスリン抵抗性改善薬を投与されていない例では,metoprololの投与によりインスリン抵抗性が悪化したのに対し,carvedilolではそのような影響はみられなかった。しかし,インスリン抵抗性改善薬を投与されている例では,metoprololとcarvedilolの間に有意差を認めなかった。