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Zheng L, Hodis HN, Buchanan TA, Li Y, Mack WJ: Effect of antihypertensive therapy on progression of carotid intima-media thickness in patients with type 2 diabetes mellitus. Am J Cardiol 2007; 99: 956-960. [PubMed]
降圧薬による治療がIMT肥厚の進行を阻止することは,すでにPREVENT試験やSECURE試験で正常血圧者や本態性高血圧症患者において証明されている。今回のTARTの事後解析により,2型糖尿病患者においても,降圧薬による治療によりIMT肥厚が投与期間に依存して阻止されることが証明された。ちなみに,67%の患者が降圧薬を服用していた。そのうちの46%がACE阻害薬単独,46%がACE阻害薬と他の降圧薬の併用,8%がCa拮抗薬または利尿薬の単独投与であった。【片山茂裕】
●目的 | 2型糖尿病患者において,降圧療法と頸動脈内膜-中膜壁肥厚(CIMT)の変化の関係を検討した。TARTのpost hoc解析。 一次エンドポイントはCIMTの年間変化率。 |
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●デザイン | 無作為,二重盲検,プラセボ対照,単施設。 |
●試験期間 | 試験期間は2年。 |
●対象患者 | 276例:TARTの参加者(2型糖尿病患者299例)のうち,ベースラインおよびその後1回以上のCIMT測定が行われた例(男性90例,女性186例)。平均52歳。 TARTの登録基準:診断時年齢≧30歳,空腹時血糖値7.8~19.4mmol/L,インスリン投与中または投与予定。 |
●方法 | TARTでは,8~12週のrun-in期間(インスリン投与を実施)後,troglitazone 400mg/日群(149例),プラセボ群(150例)に無作為割付け。110~140/80~90mmHgを目標血圧とし,必要に応じて,ACE阻害薬,長時間作用型Ca拮抗薬,α遮断薬の順に追加投与。インスリン用量は,空腹時および食前血糖値5.5~8.3mmol/Lを維持するよう調整。ベースラインおよびその後6ヵ月ごとに高分解能Bモード頸動脈超音波検査によりCIMTを測定。 本解析では,single-risk-factor mixed-effects modelおよびmultivariate mixed-effects modelを用いて,CIMTの年間変化率と血圧および降圧薬投与期間との関係を検討。 |
●結果 | single-risk-factor mixed-effects modelにおいて,SBPの上昇は,CIMT進行率の上昇と有意な相関を示した(p=0.03)。multivariate mixed-effects modelにおいて,それらの相関は,降圧薬投与期間に依存して有意に低下した(p for interaction=0.035)。年齢,治療,空腹時血糖値を補正しても,それらの相関は減弱しなかった。 |
●結論 | 2型糖尿病患者において,規則的な降圧薬の服用により,血圧の上昇がアテローム性動脈硬化の進行に及ぼす悪影響が抑制された。降圧薬の抗アテローム効果(血圧の正常化および血管壁に対する直接的保護効果)は,Bモード超音波検査を用いたCIMTの変化の評価により検出可能である。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1283件のトライアルを収載しています。