編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Janghorbani M, Hu FB, Willett WC, Li TY, Manson JE, Logroscino G, Rexrode KM: Prospective study of type 1 and type 2 diabetes and risk of stroke subtypes: the Nurses' Health Study. Diabetes Care 2007; 30: 1730-1735. [PubMed]

2型糖尿病患者で虚血性脳卒中の頻度が高いことはよく知られているが,相対リスクは1.3~4.9倍と報告により差がある。出血性脳卒中についてはまだ不明な点も多く,1型糖尿病患者での脳卒中の状況も不明な点が多い。
今回のNHSは,女性に限られるが,2型のみならず1型糖尿病患者での脳卒中の頻度を明らかにした点で意義深いものである。また,糖尿病と高血圧があると,虚血性脳卒中が5.1倍(正常血圧の糖尿病では2.5倍,高血圧の非糖尿病では2.3倍)の高率になったことも重要な情報である。【片山茂裕

●目的 女性において,1型および2型糖尿病と各タイプの脳卒中リスクとの関係について検討した。
●デザイン 観察研究。
●試験期間 追跡期間は287万人・年(1976年~2002年6月1日)。
●対象患者 116,316例:NHSの参加者(1976年時に30~55歳であった女性看護師)。平均54.0歳。
●方法 2年ごとに脳卒中の既往,糖尿病の既往および治療,ならびにその他の脳卒中のリスク因子を調査。
脳卒中は虚血性脳卒中(血栓性または塞栓性),出血性脳卒中,タイプ不明の脳卒中に分類し,血栓性脳卒中はさらに大きな動脈の梗塞,ラクナ梗塞,分類不能の血栓性梗塞に分類。
1型糖尿病女性(303例),2型糖尿病女性(10,766例),非糖尿病女性(105,247例)における各タイプの脳卒中の相対リスク(RR)をCox比例ハザードモデルにより算出(年齢,BMI,身体活動,閉経状況およびエストロゲン使用,喫煙および高血圧,コレステロール高値,虚血性心疾患,アスピリン使用,アルコール摂取を補正)。
●結果 追跡期間に3463件の脳卒中が発生した。
全脳卒中のRR(vs 非糖尿病女性)は,1型糖尿病女性4.7(95%CI 3.3-6.6),2型糖尿病女性1.8(95%CI 1.7-2.0)であった。虚血性脳卒中(それぞれRR 6.3[95%CI 4.0-9.8],RR 2.3[95%CI 2.0-2.6]),大きな動脈の梗塞(それぞれRR 7.2[95%CI 3.2-16.2],RR 2.0[95%CI 1.6-2.6]),ラクナ梗塞(それぞれRR 7.2[95%CI 3.2-16.1],RR 2.8[95%CI 2.3-3.5])のリスクは同等であった。一方,出血性脳卒中リスクについては,1型糖尿病女性では増大が認められたが(RR 3.8[95%CI 1.2-11.8]),2型糖尿病女性では認められなかった(RR 1.0[95%CI 0.7-1.4])。
1型糖尿病および2型糖尿病ともに,罹病期間の延長に伴って脳卒中リスクは増大傾向を示した。
●結論 1型糖尿病および2型糖尿病はいずれも虚血性脳卒中のリスクを増大させ,1型糖尿病はさらに出血性脳卒中のリスクも増大させることが示された。また,脳卒中リスクは糖尿病の罹病期間とも相関を示した。