編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Holman RR, Thorne KI, Farmer AJ, Davies MJ, Keenan JF, Paul S, Levy JC, 4-T Study Group: Addition of biphasic, prandial, or basal insulin to oral therapy in type 2 diabetes. N Engl J Med 2007; 357: 1716-1730. [PubMed]

わが国においても常に討論されている「何回注射がより効果的で安全なのか」という命題に対して行われた研究である。
結果は,効果において,超速効型3回=混合型2回>基礎1回,安全性(低血糖の起こりにくさ)では,基礎1回>混合型2回>超速効型3回というものであった。この結果を直接よめば,超速効型3回注射のメリットは,「強化療法」と呼ばれるほどたいしたものではないかのようにとれなくもない。しかし,本研究の平均BMIは30kg/m²を超えていること,必要インスリンは超速効型3回注射では56単位/日と超大量であることなどから,日本人にそのまま適応するのは困難であろう。
さらに,本来「強化療法」における頻回注射のレシピは,3回の追加インスリンの補充のみではコントロール改善困難な場合,基礎インスリンを躊躇することなく併用するべきであるが,本プロトコールでは基礎インスリンの追加は禁止されており,力任せに追加のみを増やすことが低血糖頻度にも影響を与えたのではないかと思われる。【河盛隆造

●目的 最大耐容量のmetformin(ビグアナイド)およびスルホニル尿素(SU)薬投与下で血糖コントロール不良の2型糖尿病患者において,二相性インスリン,食前インスリン,基礎インスリン併用の有効性および安全性を比較した。
主要アウトカムは1年後のHbA1c値。
●デザイン 無作為,オープンラベル,多施設(58施設,アイルランドおよび英国)。
●試験期間 登録期間は2004年11月1日~2006年7月31日。追跡期間は1年(予定試験期間3年)。
●対象患者 708例:最大耐容量のmetforminおよびSU薬を4ヵ月以上投与下で血糖コントロール不良(HbA1c値7.0~10.0%)の2型糖尿病患者。平均61.7歳。
登録基準:≧18歳,罹病期間≧12ヵ月,インスリン未投与,BMI≦40kg/m²。
除外基準:過去6ヵ月以内のチアゾリジンジオン系薬剤または3種類の経口血糖降下薬の投与歴,失明のおそれのある網膜症,血漿クレアチニン値≧1.47mg/dL,心疾患(過去6ヵ月以内の不安定狭心症または心筋梗塞,NYHA分類III~IVのうっ血性心不全),肝疾患またはアラニンアミノトランスフェラーゼ値が正常上限の2倍以上,無自覚性低血糖または反復性の重度低血糖,血糖調節に影響を及ぼす併用薬の変更予定,コントロール不良の高血圧(SBP≧180mmHgまたはDBP≧105mmHg),妊娠の可能性。
●方法 二相性インスリン群(二相性インスリンaspart 1日2回:235例),食前インスリン群(インスリンaspart 1日3回食直前投与:239例),基礎インスリン群(インスリンdetemir 1日1回就寝時投与[必要に応じて2回]:234例)にランダム化。食前血糖値72~99mg/dL,食後2時間値90~126mg/dLとなるよう用量調整。
HbA1c値,HbA1c値≦6.5%の達成率,低血糖の発生回数,体重の変化を評価。
●結果 1年後における平均HbA1c値は,二相性インスリン群(7.3%)および食前インスリン群(7.2%)で同等であったが(p=0.08),基礎インスリン群(7.6%)では他の2群に比して有意に高値であった(いずれもp<0.001)。
HbA1c値≦6.5%の達成率も,二相性インスリン群(17.0%)および食前インスリン群(23.9%)では同等であったが(p=0.08),基礎インスリン群(8.1%)では他の2群に比して有意に低かった(いずれもp<0.001)。
1例あたりの低血糖平均発生回数(/年)は,それぞれ5.7回,12.0回,2.3回であった。体重の平均増加量は,二相性インスリン群(4.7kg)および食前インスリン群(5.7kg)では基礎インスリン群(1.9kg)に比して大きかった(二相性vs食前p=0.005,二相性vs基礎p<0.001,食前vs基礎p<0.001)。
重篤な有害事象の発生率(p=0.25)および有害事象の発生件数(p=0.37)は3群とも同等であった。
●結論 metforminおよびSU薬に単一のインスリンアナログを併用しても,1年後にHbA1c値≦6.5%を達成できた患者は少数であった。二相性インスリンおよび食前インスリンの併用は,基礎インスリンの併用よりもHbA1c値をより大きく低下させたが,低血糖および体重増加のリスクもより高かった。