編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Ruggenenti P, Perna A, Ganeva M, Ene-Iordache B, Remuzzi G, BENEDICT Study Group: Impact of blood pressure control and angiotensin-converting enzyme inhibitor therapy on new-onset microalbuminuria in type 2 diabetes: a post hoc analysis of the BENEDICT trial. J Am Soc Nephrol 2006; 17: 3472-3481. [PubMed]

BENEDICTの事後解析であるが,重要なポイントを明らかにしている。まず,追跡開始時の血圧ではなく,追跡期間中の血圧の低下が,微量アルブミン尿予防に重要であることが明らかとなった。次いで,ACE阻害薬は血圧コントロール不良の患者により有効であるが,非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬はどの血圧レベルでも有効とはいえなかった。
正常アルブミン尿であっても,高血圧を伴う2型糖尿病患者にはRAS系抑制薬を投与すべきである。また,RAS系抑制薬と非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の併用は,血圧コントロールに有用であり,これが心血管イベントの減少につながるかどうか,今後さらに検討すべきである。【片山茂裕

●目的 腎症を認めない2型糖尿病患者において,血圧コントロールおよびACE阻害薬治療による腎保護効果を検討した。BENEDICTの事後解析。
一次アウトカムは微量アルブミン尿の持続的な発現(尿中アルブミン排泄率≧20mg/分)。
●デザイン 無作為,前向き,二重盲検,プラセボ対照,パラレル。
●試験期間 治療期間は3.6年。
●対象患者 1180例:BENEDICTの参加者(高血圧を有し,尿中アルブミン排泄が正常な2型糖尿病患者1204例)のうち追跡期間に血圧データが得られた例。
登録基準:SBP>130mmHgまたはDBP>85mmHgあるいは降圧薬の服用。尿中アルブミン排泄率<20mg/分。
●方法 BENEDICTでは,ACE阻害薬trandolapril(2mg/日)群,Ca拮抗薬verapamil(徐放剤,240mg/日)群,trandolapril(2mg/日)+verapamil(徐放剤,180mg/日)併用群,プラセボ群にランダム化し,3年以上投与。<130/80mmHgを降圧目標とし,必要に応じて他の降圧薬(RAS阻害薬および非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬を除く)を併用。
本解析では,ベースラインにおける血圧,追跡期間(3ヵ月目より試験終了まで)の平均血圧,ベースラインからの血圧の低下量と微量アルブミン尿の関係をCox比例ハザードモデルにより検討し,さらに治療群による微量アルブミン尿リスクを検討した。
●結果 追跡期間のSBP(補正ハザード比[HR]1.04[95%CI 1.02-1.06],p=0.0002),DBP(補正HR 1.05[1.01-1.10],p=0.0085),平均血圧(補正HR 1.07[1.03-1.10],p=0.0004),脈圧(補正HR 1.03[1.01-1.06],p=0.0075)は,微量アルブミン尿の独立した有意な予測因子であった。さらに,それらのベースラインからの低下量も微量アルブミン尿リスクと独立した有意な相関を示したが(SBP:補正HR 1.05[1.03-1.07],p<0.0001,DBP:補正HR 1.07[1.04-1.10],p<0.0001,平均血圧:補正HR 1.08[1.05-1.11],p<0.0001,脈圧:補正HR 1.04[1.02-1.06],p=0.0008),ベースラインにおけるそれらの値と微量アルブミン尿には相関はみられなかった。
追跡期間の血圧が中央値以上の患者では,ACE阻害薬治療により微量アルブミン尿リスクが有意に低下し,中央値以下の患者と同等レベルとなった。血圧の低下量が中央値以下の患者においても同様に,ACE阻害薬治療によりリスクの有意な低下が認められ,中央値以上の患者と同等レベルとなった。非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬治療は,血圧レベルにかかわらず,微量アルブミン尿に独立した影響を及ぼさなかった。
trandolapril+verapamil併用群では,追跡期間の血圧がより低く,利尿薬,β遮断薬,ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬の服用頻度も低かった。
●結論 高血圧を有し,尿中アルブミン排泄が正常な2型糖尿病患者において,血圧の低下およびACE阻害薬治療は,いずれも独立した微量アルブミン尿予防効果を有すると考えられた。ACE阻害薬治療はとくに血圧コントロール不良の患者に対して効果的であったのに対し,非ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬治療は血圧レベルにかかわらず微量アルブミン尿予防効果を示さなかった。また,trandolapril単独に比してtrandolapril+verapamil併用は,他の降圧薬併用の必要性を抑制しつつ降圧目標を達成するのに有用であった。