編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Held C, Gerstein HC, Yusuf S, Zhao F, Hilbrich L, Anderson C, Sleight P, Teo K, ONTARGET/TRANSCEND Investigators: Glucose levels predict hospitalization for congestive heart failure in patients at high cardiovascular risk. Circulation 2007; 115: 1371-1375. [PubMed]

ONTARGET/TRANSCENDは,アンジオテンシンII受容体拮抗薬telmisartan,ACE阻害薬ramipril,および両剤の併用で心血管疾患発症率を検討する大規模介入試験である。最終結果は,2008年春ごろに発表される予定である。
本検討は,FPG値が高くなるとCHFによる入院が明らかに増加することを明確に示した初めてのものかもしれない。正常低値(FPG値<90mg/dL)に比べ,それ以上の正常高値で1.1倍,空腹時血糖異常で1.3倍,新規糖尿病で1.8倍,糖尿病で2.6倍のリスクになっている。血糖値を低下させるとCHFが減少するかどうかが,次に解明されるべき課題である。【片山茂裕

●目的 心血管疾患発症の高リスク例において,空腹時血漿ブドウ糖(FPG)値とうっ血性心不全(CHF)による入院リスクの関係を検討した。
●デザイン コホート。
●試験期間 追跡期間は平均886日。
●対象患者 31546例:ONTARGETおよびTRANSCENDの参加者(CHFを認めない心血管疾患発症の高リスク例)それぞれ25620例,5926例。≧55歳(平均67歳)。男性69%。
登録基準:冠動脈疾患,末梢血管疾患,脳血管疾患の既往,あるいは終末期障害を伴う糖尿病のいずれかを有する。
除外基準:症候性CHF,重度の弁膜症,コントロール不良の高血圧。
●方法 ベースラインにおけるFPG値とCHFによる入院の関係について多重Cox回帰モデルを用いて検討。FPG値は5つのカテゴリーに分類(正常低値[<5.0mmol/L],正常高値[≧5.0mmol/L],空腹時血糖異常[5.6~6.9mmol/L],新規糖尿病[≧7.0mmol/L],既知の糖尿病),あるいは連続変数として解析した。
●結果 既知の糖尿病患者11708例(37%),新規糖尿病患者1006例(3.2%),追跡期間にCHFにより入院したのは668例であった。
FPG値に基づいた5つの患者群では,FPGが高値となるのに伴ってCHFによる入院リスクは増大した(p for trend<0.0001)。FPG値を連続変数として解析し,年齢および性別を補正すると,FPG値の1mmol/Lの上昇に伴ってCHFによる入院リスクは1.10倍増大した(95%CI 1.08-1.12,p<0.0001)。それらの相関は,さらに喫煙,心筋梗塞の既往,高血圧,ウェスト-ヒップ比,クレアチニン,糖尿病,アスピリン・β遮断薬・スタチンの使用を補正しても維持されていた(ハザード比1.05,95%CI 1.02-1.08,p<0.001)。
●結論 心血管疾患発症の高リスク例において,FPG値はCHFによる入院の独立した予測因子であった。これらのデータは,血糖値の低下により得られるCHFリスクの低減という直接的なベネフィットを理論的に支持するものである。