編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Winkelmayer WC, Zhang Z, Shahinfar S, Cooper ME, Avorn J, Brenner BM: Efficacy and safety of angiotensin II receptor blockade in elderly patients with diabetes. Diabetes Care 2006; 29: 2210-2217. [PubMed]

糖尿病性腎症によるESRDにより血液透析に導入される患者数は,ますます増加している。とりわけ,65歳以上の高齢者の占める割合が著しく増加すると予想される。しかしながら,高齢者ではACE阻害薬やARBの副作用が多いのではないか,あるいは平均余命が短いため,ACE阻害薬やARBの臓器保護作用が期待できないのではないかなどの理由で,これら薬剤が十分使用されてきたとはいい難い。実際,米国老年病学会の「高齢者糖尿病患者の治療ガイドライン」では,腎症の予防が挙げられていない。
高齢者における今回のRENAALのサブ解析は,高齢者においてもARBであるlosartanによる治療が腎症の進展遅延に有用であることを示した貴重なエビデンスである。【片山茂裕

●目的 高齢糖尿病患者において,AII受容体拮抗薬(ARB)losaratanの腎保護効果および安全性を検討した。RENAALのサブ解析。
主要エンドポイントは血清クレアチニン値上昇(2倍),末期腎不全(ESRD),死亡の複合エンドポイント。
●デザイン 無作為,プラセボ対照,多施設,intention-to-treat解析。
●試験期間 -
●対象患者 1513例:RENAALの参加者(腎症を有する2型糖尿病患者)。
●方法 RENAALでは,losartan 50mg/日群(必要に応じて100mg/日に増量),プラセボ群にランダム化。降圧目標<140/90mmHgを達成するため,降圧薬(Ca拮抗薬,β遮断薬,中枢神経作用薬,利尿薬[ただしACE阻害薬およびARBを除く])の併用は可とした。
本解析では,対象患者を≦57歳(505例[33.4%]),>57~≦65歳(587例[38.8%]),>65歳(421例[27.8%])に層別化し,エンドポイントおよび有害事象を比較。
●結果 最高齢者は74歳であった。
主要エンドポイント(p for interaction[補正後]:0.662)および個々のエンドポイント(p for interaction:血清クレアチニン値上昇0.448,ESRD 0.556,死亡0.695)に対するlosartanの効果に関して,年齢による差は認めなかった。>65歳の患者では,losartan投与により,ESRDリスクが50%まで低下した(95%CI 30-81,p=0.005)。また,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の阻害に伴う血清クレアチニン値上昇(p for interaction:0.388)および高カリウム血症(p for interaction:0.402)といった有害事象の発生率に関しても,年齢による差は認めなかった。
●結論 losartan投与によるベネフィットとリスクは,高齢患者と若年患者で同程度であった。したがって,ベネフィットの不足あるいはリスクの増大を理由に,高齢患者に対してACE阻害薬およびARBを使用しないというのは根拠がないと思われる。