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Kurokawa K, Chan JC, Cooper ME, Keane WF, Shahinfar S, Zhang Z: Renin angiotensin aldosterone system blockade and renal disease in patients with type 2 diabetes: a subanalysis of Japanese patients from the RENAAL study. Clin Exp Nephrol 2006; 10: 193-200. [PubMed]

RENAAL試験に参加した日本人96名のサブ解析である。レニン-アンジオテンシン抑制薬であるlosartanにより,腎複合エンドポイントの相対リスク低下率は45%に達し,全体での22%に比べてきわめて大であった。ESRDの高リスク群といわれている日本人でAII受容体拮抗薬の腎保護作用を示した重要なエビデンスといえる。2006年6月,この結果をもとにlosartanは糖尿病腎症の治療薬として適応拡大がなされた。【片山茂裕

●目的 RENAAL試験で示された腎症を伴う2型糖尿病患者に対するAII受容体拮抗薬losartanの効果が日本人患者においても認められるかを検討した。RENAALのpost hoc解析。
一次エンドポイントは血清クレアチニン値上昇(2倍),末期腎不全(ESRD),死亡の複合エンドポイント。二次エンドポイントはESRD,蛋白尿の変化。
●デザイン 無作為,二重盲検,プラセボ対照。
●試験期間 日本人患者における追跡期間は平均2.8年(全対象患者では平均3.4年)。
●対象患者 96例:RENAALの参加者(31~70歳で腎症を伴う2型糖尿病患者1513例)のうち,日本人。
RENAALの登録基準:蛋白尿(アルブミン/クレアチニン比≧300mg/gまたは24時間尿中蛋白>500mg),血清クレアチニン値1.3~3.0mg/dL(>60kgの男性では1.5~3.0mg/dL)。
●方法 RENAALでは,患者をlosartan群とプラセボ群にランダム化。losartanは50mg/日より開始し,4週後に座位血圧<140/90mmHgとならない場合は100mg/日まで増量。なお降圧が得られない場合はオープンラベルで降圧薬を併用。
本解析では,日本人患者のデータについてpost hoc解析を実施(losartan群44例,プラセボ群52例)。
●結果 intention-to-treat解析では,一次エンドポイント発生率はlosartan群でプラセボ群に比して少なかった(50.0 vs 65.4%)。ベースラインにおける蛋白尿を補正するとlosartanの効果はさらに顕著となり,一次エンドポイント発生リスクはプラセボ群に比して45%低かった(ハザード比[HR]0.55,95%CI 0.31-0.97,p=0.0397)。これは全対象患者において認められたリスク低下(22%,HR 0.78,95%CI 0.67-0.90)の2倍以上であった。また,on-treatment解析において,losartan群では蛋白尿が37.8%減少した(p<0.001)。試験期間を通じて両群の血圧に差はなく,losartanの効果は降圧によるものではないことが示された。
日本人患者におけるlosartanの忍容性は,全対象患者と同程度に良好であった。咳の発生率は両群で同等であった(6.8 vs 5.8%)。
●結論 日本人の腎症を伴う2型糖尿病患者において,losartanは腎保護効果を示し,忍容性も概ね良好であった。