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Shai I, Jiang R, Manson JE, Stampfer MJ, Willett WC, Colditz GA, Hu FB: Ethnicity, obesity, and risk of type 2 diabetes in women: a 20-year follow-up study. Diabetes Care 2006; 29: 1585-1590. [PubMed]

糖尿病発症リスクに及ぼす人種の影響をみたNHSのサブ解析である。20年に及ぶ約78000人における今回の前向き調査でも,有病率などを調べた疫学調査で従来いわれていたように,白人に比べ,アジア人やヒスパニック人や黒人では,糖尿病の発症率が高いことが確認された。BMIで補正しても同様の結果であった。ただ,BMIが5kg/m²増加した際の糖尿病発症に及ぼす影響はアジア人でもっとも大きかったことは,われわれ日本人に重要な成績といえる。また逆に,健康的な食事が,白人に比べ,アジア人などのマイノリティで糖尿病発症をより減少させたことも,重要なメッセージといえる。【片山茂裕

●目的 中年女性において,2型糖尿病発症リスクの人種差について,食事および生活習慣を考慮して検討した。
●デザイン コホート,観察研究。
●試験期間 追跡期間は20年(1980~2000年,1,294,799人・年)。
●対象患者 78,419例:NHSの参加者(1976年時点で30~55歳であった米国11州の看護師121,700例)のうち,1980年の調査でデータが得られ,糖尿病,癌,心血管疾患を有さないことが確認された健康女性。白人75584例,アジア人801例,ヒスパニック613例,黒人1421例。
●方法 2型糖尿病の新規発症,食事および生活習慣に関する情報を追跡調査。
●結果 追跡期間に3844例が2型糖尿病を発症した。
白人と比較した2型糖尿病発症の相対リスク(RR:年齢を補正)は,アジア人1.43(95%CI[以下同]1.08-1.90),ヒスパニック1.76(1.32-2.34),黒人2.18(1.82-2.61)であった。さらにBMIを補正すると,RRはそれぞれ2.26(1.70-2.99),1.86(1.40-2.47),1.34(1.12-1.61)であった。
多変量解析では,1980~2000年におけるBMIの5kg/m²上昇に伴う2型糖尿病発症のRRは,アジア人2.36(1.83-3.04),ヒスパニック2.21(1.75-2.79),白人1.96(1.93-2.00),黒人1.55(1.36-1.77)であった(BMIと人種に関するp for interaction<0.001)。また,18歳時から1980年までにおける5kgの体重増加に伴う2型糖尿病発症のRRは,アジア人1.84(1.58-2.14),ヒスパニック1.44(1.26-1.63),黒人1.38(1.28-1.49),白人1.37(1.35-1.38)であった(p<0.05[アジア人 vs 他の各人種])。
健康的な食事(穀物繊維および多価不飽和脂肪が豊富でトランス脂肪および糖質が少ない)と2型糖尿病発症リスクの負の相関は,白人(RR 0.77[0.72-0.84])に比してマイノリティ(アジア人,ヒスパニック,黒人を統合:RR 0.54[0.39-0.73])でより強かった。
●結論 2型糖尿病発症リスクは白人に比べてアジア人,ヒスパニック,黒人で有意に高く,これはBMIを補正後も同様であった。体重増加によるリスク増大はとくにアジア人で大きかった。健康的な食事と2型糖尿病の負の相関は,白人に比べてその他の人種で強かった。