編集:片山茂裕 河盛隆造 景山茂 西尾善彦 西村理明 綿田裕孝
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Shepherd J, Barter P, Carmena R, Deedwania P, Fruchart JC, Haffner S, Hsia J, Breazna A, LaRosa J, Grundy S, et al.: Effect of lowering LDL cholesterol substantially below currently recommended levels in patients with coronary heart disease and diabetes: the Treating to New Targets (TNT) study. Diabetes Care 2006; 29: 1220-1226. [PubMed]

CHDを伴った糖尿病患者は,心血管疾患の高リスク群であることがよく知られている。本検討はTNT試験の糖尿病患者のサブ解析である。atorvastatin 80mg/日を用いた強化脂質低下療法は,10mg/日の通常治療に比べ,脳・心血管イベントを約25%減少させた。CHDを伴った糖尿病患者ではLDL-C値を70mg/dL未満に管理すべきというADAの勧告を裏付ける成績といえる。【片山茂裕

●目的 冠動脈心疾患(CHD)患者において認められた強化脂質低下療法(HMG-CoA還元酵素阻害薬atorvastatin 80mg/日)による心血管イベント抑制効果が,糖尿病を合併する患者においても同様に認められるかを検討した。TNTのサブ解析。
一次エンドポイントは初回主要心血管イベント(CHD死,非致死性心筋梗塞[手術の合併症を除く],心停止後の蘇生,致死性または非致死性脳卒中)発生までの期間。二次エンドポイントはすべての心血管イベント,主要冠動脈イベント(CHD死,非致死性心筋梗塞[手術の合併症を除く],心停止後の蘇生),すべての冠動脈イベント,脳血管イベント,末梢動脈疾患,狭心症,うっ血性心不全による入院,全死亡。
●デザイン 無作為,二重盲検。
●試験期間 追跡期間は4.9年(中央値)。
●対象患者 1501例:TNTの参加者(35~75歳,CHD[心筋梗塞の既往,アテローム性CHDが確認された狭心症またはその既往,冠動脈血行再建術の施行歴]患者10001例)のうち,糖尿病を有する患者。
除外基準:スタチン過敏症,肝疾患,ネフローゼ,妊娠,コントロール不良のCHDリスク因子,過去1ヵ月以内のCHDイベントまたは血行再建術,うっ血性心不全,原因不明のクレアチンホスホキナーゼの上昇(正常上限の6倍以上),致命的な悪性疾患,免疫抑制薬または脂質低下薬の使用。
●方法 TNT試験では,LDL-C値130~250mg/dLかつトリグリセリド値≦600mg/dLの患者にatorvastatin 10mg/日の8週投与を行い(run-in期間),run-in期間終了時にLDL-C値<130mg/dLであった患者をatorvastatin 10mg/日群および80mg/日群にランダム化。
本解析の対象患者は,10mg群753例,80mg群748例。
●結果 治療終了時におけるLDL-C値は10mg群98.6mg/dL,80mg群77.0mg/dLであった(p<0.0001)。
追跡期間に一次エンドポイントを発生した患者は10mg群で135例(17.9%)であったのに対し,80mg群では103例(13.8%)であった(ハザード比[HR]0.75,95%CI 0.58-0.97,p=0.026)。脳血管イベント(HR 0.69,95%CI 0.48-0.98,p=0.037)および心血管イベント(HR 0.85,95%CI 0.73-1.00,p=0.044)についても,80mg群で有意に良好な成績が得られた。
治療関連の有害事象の発生(5.4 vs 7.0%)および肝酵素の持続的上昇(正常上限の3倍以上)の発生(0.4 vs 0.9%)に関しては,両群間に有意差は認められなかった。
●結論 CHDおよび糖尿病を有する患者において,atorvastatin 80mg/日を用いた強化脂質低下療法は,atorvastatin 10mg/日に比して主要心血管イベントを25%減少させた。