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Ohnishi H, Saitoh S, Takagi S, Katoh N, Chiba Y, Akasaka H, Nakamura Y, Shimamoto K: Incidence of type 2 diabetes in individuals with central obesity in a rural Japanese population: The Tanno and Sobetsu study. Diabetes Care 2006; 29: 1128-1129. [PubMed]
わが国においても,ウェスト周囲径で規定される腹部肥満が,BMIよりもよりよい糖尿病新規発症の指標となることを示した重要な疫学的成績である。【片山茂裕】
●目的 | 日本の農村部住民において,腹部肥満(central obesity)および全般的肥満(overall obesity)と2型糖尿病の関係を検討した。 |
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●デザイン | 観察研究。 |
●試験期間 | - |
●対象患者 | 871例:1994年および2003~2004年に健康診断を実施された北海道有珠郡壮瞥町および北見市端野町住民938例から抽出した例。男性348例,女性523例。 除外基準:1994年の健康診断において血圧または腹囲のデータが得られていない,および2型糖尿病が認められた者。 |
●方法 | 対象者を正常例と腹部肥満例(IDFによる基準:腹囲≧85cm[男性]または≧90cm[女性])に分類し,2003~2004年の健康診断のデータに基づいた2型糖尿病の新規発症率を比較するとともに,ロジスティック回帰分析により2型糖尿病新規発症の相対リスク(RR)を算出。さらに,対象者を正常例と全般的肥満例(BMI≧25.0kg/m²)に分類し,同様の比較を実施。 |
●結果 | 2型糖尿病の新規発症率は,腹部肥満例で正常例に比して有意に高く(15.6 vs 5.8%,p<0.0001),また全般的肥満例でも正常例に比して有意に高かった(12.7 vs 5.9%,p<0.0001)。 年齢,性別,総コレステロール値,SBP,喫煙を補正した2型糖尿病新規発症のRRは,腹部肥満例2.59(95%CI 1.39-4.81),全般的肥満例2.06(95%CI 1.20-3.54)といずれも有意であった(p<0.01)。しかし,腹部肥満例ではさらに全般的肥満を補正後も有意性が維持されていたのに対し(RR 2.07,95%CI 1.03-4.16,p<0.05),全般的肥満例では腹部肥満を補正後に有意性は消失した(RR 1.53,95%CI 0.83-2.83)。 |
●結論 | 現在日本で用いられているIDFの基準による腹部肥満は,2型糖尿病発症リスクの評価において全般的肥満に比べてより有用性が高いことが示唆された。 |
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糖尿病トライアルデータベースは2001年にオープンしました。現在までに,1253件のトライアルを収載しています。